逆進性カリキュレイテッド
「…ってことがあったの。
ねぇ、ところでアナタ、仲間にならない?」
作り話?
でも本当だとしたら、居なかった理由も骨が落ちていたのも納得できる。
ギルガメッシュに勝てたからなんですか、私だって強いんだから。
「三人で旅する約束は破れない。
それに、私、あなたのこと嫌い。」
「ふぅん…そう…。」
彼女の座っていた椅子の影から男が現れ、私の事を見定めると、呆れたように目を閉じながら言う。
「俺が片付けておこう。」
「いいわ。これぐらいの子供、私でも楽勝よ。」
「俺が、一抜けだ!!」
声高らかに宣言すると、彼は上へ飛んで行った。
おそらく、ここから出たのだろう。
それにしても…
「なんなの、この骨は!
動かないし!このっ!このっ!」
箱から出てきた武器を持った骸骨は動くことなく立ち尽くしている。
なんとなく、見覚えがあるような…。
「あーっ!ギルガメッシュじゃ?!」
「んおっ…?なんだァ…?
って、どこだよ、ココ。まあ、出れてよかった!
テメェが俺様のこと助けてくれたのか?ありがとな!」
俺の声に反応したのかは知らないが、ギルガメッシュが目を覚ました。
「よォ、キュクロス!何やってんだよ、こんなところで!」
「こっちが聞きたいんだけど…。
えーっと、いろいろあって、ボードゲームしてる!」
こっちに気付くなり、大声でこちらを呼び手を振る。
相変わらずだ。
ミハイル
2000→2000
アリア
100→4000
ゼノン
2500→5200
キュクロス
2000→200
アレクサンドロス
Clear!
負けたアリアはスタート地点からやり直し。
ギルガメッシュはアイテムとしてアリアについている。
ミハイルの番になり、サイコロを投げる。
着いたマスはバトルマス。
「そうだなぁ。
じゃあ、俺もさっさと抜けたいし、やろうよ。キュクロスくん。」
予想通りだ。今確実に勝つなら俺しかいない。
「負けたら削られるライフは2000!
このまま負けてしまうのか、逆転勝ちか!
さ〜あ、見せてください!」
「よし…やるぞ、ミハイル!」
「あ、ちょっと待ってくれる?
お互いノーガードのターン制とかどうかな。
サイコロを投げ、出た数相手を殴れる。」
「…あぁ。わかった。」
運任せなのは嫌だが、掛けられた勝負を回避するのはもっと嫌だ。
それに、そういう戦いは昔やったゲームを思い出す。
「先攻はキミに譲るよ。秘策あるから。」
イチイチ鼻につくヤツだな。
その整った顔も、俺がボコボコにしてやる。
それにしても、秘策ってなんだろうか?
やる気満々でサイコロを投げるが、出た数字は二。
四、五、六のどれかが出てきてほしかった。
何事も大きいにこしたことは無いしな。
「行くぞ。」
なるべく小さめの動作で、自分史上最高の突きをみぞおちに二。
もちろん、悶絶している。が、そういう戦いだ。恨みっこナシ。
「げほっ…ま、キミもこのターンでおしまいだけどね…。
見せてあげるよ。俺の秘策。」
「秘策出すの早すぎだろ。」
「………ギリギリだから…。」
なんとなく、申し訳なさを感じながらも何が起こるのか警戒していると
「このターン以降、相手は三つサイコロを振れる。
代わりに、このターン俺はサイコロを二つ振ることができる。
そしてこのとき、数字は好きな方を片方の指数にする!!
俺はこの宣言後、効果を宣言することはできない!」
代償を課す代わりに強力な効果を得ると。
いや、ちょっと待てよ。
「そんなルール無いだろ。」
「あるとも。聞かれなかったから答えなかっただけだ。」
「おい、道化!」
道化の方を見るが、「私関係ありませんが?」みたいな顔をしている。
ふざけやがって。
「どうかしたのかな、キュクロスくん。
俺のターンはまだ終わってないよ。殴ってる途中だろ?」
くそ…なんだよ、三の六乗って…。
コイツが頭悪かったら六の三乗にしたのかな…。
「そんなの…わかってる…!!」
ここを耐えたら次のターン確実に勝てる。
だから、変なことを考えてないで、ひたすら我慢しよう。
「ひでェなァ。テメェもそう思うだろ?」
「ん…?えぇ、そうね。」
「ふひ…おもしれぇ…。」
「どこがだよ。じゃあテメェ、俺様と同じことするか。」
「い、ぃぇ…。」
「はんっ。殺し合いなんかなんも良くねェよ。」




