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与えられた物は「勇気」のみ!~最強スキルで旅をする~  作者: ド・ド・弩レイダー
第二章 輪廻、ドロップアウト!
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盲従性ファシネイション

遡ること十分程前―――――


「テメェ…何の用だ…!」

目の前に一人、後ろにもう一人。

眼が言うには、噂の日本人の美樹と天袮(あまね)

「初対面の女性にテメェだなんて、失礼な人…。

でも安心して。スグ楽にしてあげるから…。」

「マズイッ…!」

コイツの目を見てはいけない。

咄嗟の判断で顔の向きを変え、隙間をすり抜ける。

逃げるのもいいが、逃げると二人に迷惑がかかるかもしれないから、ここで仕留めることにする。俺様強いしな。

「それじゃあ、天袮ちゃん、よろしくねぇ〜。

殺しちゃダメよ?彼のこと、欲しがってる人が居るの。」

「恐るるに足りん。所詮は妖怪の類の域を出ない半端者だろう。」

「ひでぇ言われようじゃねェか。言っとくが、俺様はテメェよりツエーぜ。」


おかしい。

全く隙が無い。

どれだけの猛攻だろうと最適解を返してくる。

多少大振りになるが、少しずつ削って行くしかないだろう。

「動きが鈍ったぞ。弱ってきているのか。」

「鈍った?違ェな。テメェが疲れねェように遅くしてやってんのさ。」

腕力にはかなり大きな差がある。

強い攻撃を防げばその分隙も大きくなるだろう。

それにしても、コイツなんでこんなにツエーんだ。

妙なカラクリがあるんだろう。

例のチートスキルってヤツか?

俺様の努力を踏みにじるようなマネしやがって。

「生ぬるい攻撃だ。その程度では我が護りは打ち砕けん。」

「護りだァ?大層な言葉使いやがって。ズルだろうが!」

「むっ…」


「四本じゃやりづれェ…!三本で戦うぜ、俺様は!」

「ウフフ、面白ぉい…。ねぇ、天袮ちゃん、まだぁ?」

「直に終わる。」

なんだってんだ。俺様がヨエーみてェな。

まあいい。行くぜ、俺様の全力フルスイング!

コイツの剣ごと防御をぶち破ってやる。

「覚悟しろ。月をも砕く一撃必殺。『壱伐(いちばつ)』!!」

「うぐっ…!!」

予想通り、力を受け止めきれず、身体が横へ飛んでいく。

確実に実体を捉えた感覚もある。

「うそっ…!やだ、やだやだやだ…!来ないで、来ないでよ!!」

まるで化け物でも見るような怯え方だ。

だが、目を見なければ大丈夫だろう。

いくらコイツも日本人だとは言え、力は無さそうだ。

「首…貰っ…た…!!」

「なんだと…?!」

防御行動を取ったが、遅い。

その時、既に奴の短刀は俺様の頭を弾いていた。


「天袮ちゃんやるじゃな〜い。後でご褒美アゲル…。」

「要らん。」

俺様の頭は美樹の手の中で、身体は天袮と戦っている。

抵抗できるはずもなく、俺様は美樹の目によって無効化されてしまうのだった。

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