催奇形性パレード
「なんじゃこりゃあ…!!」
中にはぎこちない動きの生き物で溢れかえっていた。
「わぁっ、これがお祭り?凄いね!」
グレアが喜んでるのはいいことだが
少し、気持ち悪い気もする…。
「こ、これがここの様式だったりするのか…?」
「いや…そんなハズねェと思うけど…。」
「ねぇっ、ねぇっ、あっち行こう、あっち!」
「悪ィ、キュクロス、ちょっと行ってくる。」
ギルガメッシュはグレアに引っ張られてどこかへ行ってしまった。
「一人は…不安だな…。」
こんな恐ろしいところに一人。
暫くふらふらと歩き回っていたのだが、行き止まりや通行止めが多く、まるで中心に誘導されるように進んでいることに気付いた。
「…なるほど、ここから変な生き物達が作られてるのか…!!」
ひとつそびえ立つ大きなテント。
俺は、ゆっくりと歩みを進めて行った。
「ギルガメッシュぅ〜、武器なんか見ても楽しくないよぉ…。
それに、ここはいつでも来れるでしょ?もう、一人で行っちゃうからね!」
ギルガメッシュを置いて武具屋から出る。
初めての場所、初めてのイベント、初めての匂い
せっかくだから全部楽しまないと損だと思い、いろんな所を見て回ることにした。
「普段使いできる適当な剣がなァ…。
ん、あれ…?グレアはどこ行った…?」
狭い店内だ。見落とすはずないだろう。
しかし、どれだけ探しても居ない。
「しまった、集中しすぎたか…。」
急いで探しに出ようとドアを開けると、一人の女性が立っていた。
「テメェ…なんの用だ…。」
俺様の眼が強く反応している。
戦闘、危険は避けられないだろう。
剣に手をかけると、女性はニタリと笑って口を開いた。
「初対面の女性にテメェだなんて、失礼な人…。
でも安心して。スグ楽にしてあげるから…。」
テントの中は暗く、静かだった。
臆することなく進んでいくと、いくつものスポットライトが一点に降り注いだ。
眩しさから顔を腕で覆い、少ししてから腕を退かすと、そこには一つの人影が立っている。
「よく知っています、貴方のことも、貴方の仲間のことも!」
大きな声で喋りだした人影をようやくしっかりと認識することができた。
身長はかなり高いが、ギルガメッシュには及ばない。
やや猫背気味なのかはわからないが、体型ははっきり言って異形だ。
胴、肩、手、足首が膨らんでいて、そこを繋ぐ部分は細くなっている。
「不気味だな…。」
「こちらを貴方にプレゼント!早速開いて中身を確認してくださいっ!」
どこからともなく取り出したシルクハットは、いかにもって感じだ。
中に手を入れ、取り出したのは箱だった。
「いやいや、何でだよ。怪しくて開けられるワケないだろ。」
「まあまあそう言わず、ささ、どうぞどうぞ!」
勝手に開かれた俺の持っている箱の正体はビックリ箱だった。
中から飛び出したソイツの顔の描かれた球は絶妙にムカつく顔をしている。
小さくビンの栓を抜いた時のような音がすると同時に、球の口から煙が吹き出し、やがて周りは何も見えなくなってしまった。
「はぁ、凄いけど、私以外人がいないんじゃ、つまんないよ…。」
ギルガメッシュの所に戻ろうと武具屋を訪れたが、居ない。
何かが足に当たって、何かと確認すると、一本の骨だった。
「これ、ギルガメッシュ…?!ギルガメッシュなの…?!」
話しかけるが返事は無い。
「返事して!返事してよ…!!」
返事をすることなく、骨はコロコロと中心部へと転がって行く。
「こっち?こっちにいるのね!」
骨を拾い、私は中心へと駆けていった。




