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与えられた物は「勇気」のみ!~最強スキルで旅をする~  作者: ド・ド・弩レイダー
第二章 輪廻、ドロップアウト!
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予見可能性プロブレム

今日もギルガメッシュに稽古をつけてもらっている。

相変わらず強い。

身長も、腕力も、一般人とは大違いで、加減しているらしいが、それでも達人級の腕はある。

「今日はヤケに攻めが大人しいな。なんかあったか?」

「…もう、戻ろうぜ。俺、グレアが心配だよ。」

ひとりぼっちだったグレアを旅に引き入れて、二日目の朝、宿の裏庭とは言え、部屋の中にグレアを残してきている。

今よりずっと小さかった頃、起きたとき、寝室に親が居なくて酷く不安になったのを覚えている。

幼稚園児の様な扱いをするつもりではないが、ずっとひとりぼっちで悲しい思いをしてたのに、またさせるワケにはいかないだろう。


そっと部屋のドアを開ける。

ベッドの上で横になっている少女に変わった様子は無く、まだ寝ているようだった。

「ふぅ、大丈夫だったな。

なあ、ギルガメッシュ。今後の予定でも確認しておこう。」

手帳とアレスさんの日記を取り出し、照らし合わせていく。

「次は『セーム・デメテル・アリア』ってヤツだな。

味方の強化、敵の弱体化…。仮に戦闘になっても、負ける気はしねェぜ。」

「まぁ、そういうヤツらはタイマンだと弱い感じあるよな。」


「ん…二人とも…。」

上体を起こしこちらを見る少女の目は赤く腫れていた。

「ほら、これで目ェ冷やしとけ。」

腰のポーチから取り出した氷を布に包み、彼女に手渡す。

「ん…?保冷機能でも付いてるのか…?」

「溶けない魔法の氷だ。不思議なアイテムは他にもいろいろあるぜ。」

「いや、平気。」

残念、と言ったような顔をしてため息をひとつつくと、立ち上がり、「すぐ戻る」とだけ言って部屋を出た。


部屋に戻ってきたギルガメッシュの手にはスープと食器が乗っていた。

「ほら、朝食の時間だぜ。」

知らない場所で、一週間前は顔も名前も知らなかった二人と朝食を食べている。

境遇も違ければ、好きなものもできることも違う。

でも、今過ごしてる時間は同じもの。不思議だ。

昨夜と同じでグレアはおいしいおいしいと喜びながらスープとパンを大切そうに食べている。

「そういやァ、おもしれぇ話聞いてよ。

この世界にまた三人ぐらい日本人が召喚されたらしいぜ。

どうもそいつら、中央が公式的に呼び出したモンらしくてな。

俺ら、ヘルメースを消滅させたろ?その影響で各地の神の力が強大になってるらしい。

で、それを鎮める為に召喚されたんだと。」

「名前は聞いてたりしてないのか?つーか、なんで日本人なんだよ。」

「日本人は特殊な力を持って召喚されることが多いらしいからな。テメェも、心当たりあんじゃねェの?」

ニヤニヤと肘でつついてくる。

無いと言ったら嘘になるが、勇気が出るだけだ。

そんなの、無いに等しい。

「俺が聞いた限りだと

山条(やまじょう) 天祢(あまね)』と『衛藤(もりふじ) 久宗(ひさむね)』、『小此木(おこのぎ) 美姫(みき)』の三人。もしかしたらもっと多いかもしれねェ。」

「ふーん…本当に日本人なんだな…。」


朝食を食べ、支度を終えて、宿を出た。

武器屋に寄って、預けた剣を受け取ると、歪で濁っていたクリスタルが形を整えられて、剣の柄にそれにセットする場所ができていた。

少し説明を受け、二人を待たせてるから、となるべく時間をかけないように武器屋を後にした。

「待たせてごめん!さ、西の国(オロス・イディ)に戻ろうか!」


「なんだか今日は、向こうから来るヤツが多いなァ。」

言われてみれば、そんな気がする。

と思ったが、中央から向かうのは初めてだ。

そんなこと言われたってわからない。

むしろ、なんでギルガメッシュは知っているんだ。

「そういえば、今日からお祭りだって聞いたよ!

お祭りってどんなことするんだろう?楽しみだなぁ。」

「今日は楽しむか!なァ、キュクロス?」

「うん、そうだね。思いっきり楽しもう。」


そんな会話をしながら、ゆらゆら揺られて数時間、西の国(オロス・イディ)に着いた。

手続きを済ませ、中へ入る。

「っ…おいおい…なんだよこれ…!!」

そこで見た光景は、目を見張るものだった。

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