叛逆性ディアヴォロス
「ぐははは…随分騒がしいな…。
ま、直に静かになるだろ。このオー・エヴィエニス様にちょっかいかけたこと、後悔しろ!
ん、下から階段を上る音…。ようやく仕留めたか。」
「きゃぁぁぁっっ!!!!」
吹き飛ばされるようにドアから飛び出した女。
「お、おい、何してる、役立たずが!!」
足元に転がる奴隷を蹴飛ばし、剣を手に取る。
しかしこのエヴィエニス、己の手だけは汚さん。
俺の合図と共に待機してる奴らが侵入者共をめった打ちだ!
「オイオイ、俺様ァこんなガキ一人じゃ死なないぜ?
おォ、テメェだな。オー・エヴィエニスとかいう奴は!!」
身長が2m程ある大きなスケルトン。
地下から現れる姿はまさにアンデッド!!
「ふ…ふふ…来い!」
さすがに、コイツらでも四方八方からの銃撃には耐えられまい!
「おっしゃァ!じゃ、遠慮なく行かせてもらうぜェ!!」
「……は?おい!どうなってる!!なんで誰もっ…」
突然脚を掴まれる。
「だ、誰だ…?」
「私です…!」
「っ…俺に触るなぁっ!!」
大丈夫、まだ死んでいない。
にしても、誰も来ないのは何故なんだ
「おい、下種女!!
さっさとコイツらを殺せ!!」
生意気な奴だ。
「違う…私は…私の名前は…」
「ヴロミコー、落ち着いたか?」
目に涙を溜めながら頷く彼女を、ギルガメッシュは怪訝そうな目で見ている。
「どうしたんだよ、ギルガメッシュ。
あんなに大切そうに抱きしめてたじゃんか。」
「…いや、ヴロミコーって名前がどうしても気になってよォ…。
汚いだとかそう言う意味だった気が済んだよな…。」
「え、そうなのか?!
なぁ、ヴロミコー。今の名前、気に入ってる?」
涙を拭いながら首を横に振る。
彼女が意味を知っているのかはわからないが、汚い汚いって呼ばれ続けるのはさすがに苦だろう。
「んじゃ、名付けの時間だな!」
「サ…サー…グレ…グレア!
どうだ、グレア!なんかいい感じの音だろ?!なァ!」
「グレア…素敵…。気に入った!私はこれからグレア!」
聞くなり彼女は跳ね起きて、嬉しそうにガッツポーズをするのだった。
「アイツ、別の部屋に武器を持った奴らを待機させてたの。」
「ふん…俺様はその程度じゃァ止まんねェけどな。」
「だから全員殺した。貴方達を殺した後に殺されるなんてたまったもんじゃないでしょう?」
「お、おォ…そうか…強えーんだな…。」
もしかしたら、彼女は俺の何倍も強いのかもしれない。
こういう時、殺してしまったことに罪悪感や焦りを覚えるのが普通なのではないだろうか。
既にそんなことを感じないほど殺人を…?
いや、先程の彼女の発言からして、殺しは今日が初めてだろう。
なんて強靭な精神力なんだ。見習いたい。
「ってなワケで、グレア、囮よろしくな。」
「うん、わかった。任せて!」
「ん…?全く聞いてなかった…。」
「私の名前は下種女なんかじゃない。
冥土の土産に教えてあげる。グレアって言うの。どう?素敵でしょう!」
その言葉を最後に、オー・エヴィエニスは倒れ込み、心臓は止まっていた。
「この家、燃やしちゃいましょう!きっと綺麗になる!」
「お前なァ…周りの木に燃え移ったらどうするつもりだ?」
「森が火事になったら大変だ。我慢してくれ。」
「えー、でも…」
俺達は新しい仲間と共に、西の国へと続く道を歩いていた。




