永遠性アンダーワールド
西の国、オロス・イディ。
北の国、メギストス・フォスと戦争が始まり、八年前終戦。
ギルガメッシュによると、西の国を護る神が殺され、劣勢だったが、西の国の得意とする呪術により北の国の中枢が麻痺、お互いこれ以上の戦いは無理だと判断し、終戦したらしい。
お互いの損傷の具合で判断できるのはいい世界だと思う。
でも、戦争は無くならないんだなとか思ったり
「…おい!剣を振るう奴が戦争が云々言ってんなよ?」
たまにギルガメッシュは俺の考えを見透かしたようなことを言ってくる。
たしかに、言われた通り俺は戦った。
それがきっかけになったかもしれないんだ。
「ところでギルガメッシュ。こっちであってる?」
森の中に入ってかれこれ三時間は歩いている。
一向に外へ出る気配がない。
「俺様が間違うはずねぇだろ?
この眼の導きに従えばハッピーエンドってワケだ。」
くるりと振り向くと兜の隙間から赤い眼光が見える。
聞いたことはなかったが、その眼にはどんな力が宿っているのだろう。
気になるが、歩みを止めるワケにはいかない。
森の深く
薄暗くて見通しが悪い
風は冷たく、不気味な鳥の声だけが聞こえる
「ギルガメッシュ…この木、目があるように見えない…?」
奥へ進むと増えてきた白い木肌の木。
「白ポプラだな。別に怖がるようなモンじゃねェよ。」
豪快に笑い飛ばすと、どうやら分かれ道があったようで、立ち止まった。
「どうしたんだよ、その眼があるんだろ?」
片方は曲がる道、もう片方は真っ直ぐ進む道。
「どっちもなんだ。この眼は、両方を指してる。」
「じゃあどっちでもいいってことだな!」
俺は曲がる道へ歩いて行くと、ギルガメッシュに後ろから引っ張られた。
「真っ直ぐ行くぜ。そっちには森しかねぇはずだからな。」
森からやっとの思いで出たら、辺りは暗く、夜のようだった。
森に入る前は日が出てたんだけど。
五、六時間程歩いた計算になる。
旅とギルガメッシュとの基礎訓練のおかげで体力が付いてきたのか、これだけ歩き続けても少ししか疲れていない。
あんな鬼みたいな訓練してたら嫌でも体力付くよな…。
「オロス・イディ。巨大な山の中に造られた国家。
魔法とかが非現実的と言われる世界の定義じゃ説明できないシロモノだ。
地球にはこんなの存在しねェだろ?な?」
山の中にある国と言われ、頂上付近や中腹に国がある事を想像したが、言葉通り、山の中にあるようだ。
山の中ということは、太陽の光は届かないはずだ。
照明や、他のなにかが中にあるのだろうか?
「東西南北で四方向の入口があって、俺様達が入るのは南側。
東側にずーっと行けば、中央がある。一旦戻るってのもアリだと思うぜ。
ま、ここでやることが済むまでは戻らせねェけどな。」
中に入ると、外にあったはずの月があった。
「あ、あれ…?月がある…?」
「あぁ、そうか。説明してなかったな。
あれは太陽とか月と同じ役割を果たすエネルギーの塊だ。
この国の地下で強大な力を持つ奴が維持してるって噂だぜ。」
「ひとまず、宿で休もう…?
俺もう休みたいよ。体は平気だけど精神的に疲れてるんだ。」
呆れたようにため息をつくと、適当な宿へ入っていった。
さっさと部屋を取ると、部屋に荷物を置き、俺に聞く。
「腹は?飯食いに行くけど、どうする?
着いてくる余裕もないなら、適当に食って寝とけ。」
「あぁ、いいや。いってらっしゃい、俺はここにいるよ。」
「この店で1番高いステーキ、頼む。」
「少々お待ちください。お飲み物は?」
「赤ワイン。オススメのやつを。」
この世界はどうも変だな。
ギリシア神話からできてる世界じゃないのか?
オリュンポス十二神は半分以上死んでるし
アレス・アイアースだってそうだ。
不自然すぎる。
それにキュクロスだって。
今まで俺様が旅した世界にあんなやつ居なかった。
岩月龍之介も。
イレギュラーだらけだが、この眼だけは真実を…
いや、分かれ道で変な風になったな。
とにかく、常ノ理を壊すことを目的に頑張ろう。
正しい歴史に戻して、次の常ノ理を壊しに行って…
残りはいくつだったかな。
覚えてないが、たぶん三個ぐらいだろ。
深く思考を張り巡らせた後、食事し、満腹で宿へ戻って行った。




