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復讐! 妙蓮寺引き回し大会



◆復讐! 妙蓮寺引き回し大会



 透き通った音と共にそれはやってきた。

 流れ星。

 七色の炎をまとって、一直線に。


「ぎャアアアアア!」


 小さな星が落ちた。夜空から飛んできた星の欠片が妙蓮寺のそばに落ちた。


 妙蓮寺は吹き飛んだ。周りにいた魔物も消し飛んだ。 


 サティの言う通りだ。これはミニ亀の魔法なんだ。星が降ってきた。

 それは砂粒のようにほんの小さな粒だった。でもそれで充分だった。


 形勢は逆転した。



「ミニチュアタートルを助けて良かったですね」


 フェニは涼しい顔で言った。

 双剣をそれぞれ、星の光で傷だらけになった妙蓮寺の首、それから股間に突きつける。


「魔物たちを止めなさい」


「ふざけんなよッ! こっちはな、あのモンスター娘の命にぎってんだぞ!」


「虚勢を張っても無駄です。こんなに萎んじゃって恐怖心がビクビク伝わってきます」


「バカ言ってんじゃねェよ、クソがァ!」


「そうですか? じゃあとりあえず、ボクチンから生きる喜びを奪います」


「アっ、ヤヤヤヤ、ヤメテ……止めます。待機させますから!」


「ありがとうございます」


 ざしゅ————。


 妙蓮寺の鋭い悲鳴が上がった。

 僕は思わず股間を押さえた。大丈夫、僕のは……ある。


「まぁそれとこれとは無関係です」


 味方ながら恐ろしい。


 サティは相変わらず呆けたようにへたりこんでいた。待機命令を受けたニロは、無表情で涙を流しながらサティを見下ろしている。


「妙蓮寺、僕を覚えてるかい?」僕は跪いたヤツの耳に剣をかけた。「ねぇ、聞いてる? この耳は飾りか?」


「聞いてます! ボクは知りません! ボクはあなたのことを存じ上げません!」


 あれ、ボクチンからチンが取れちゃった。


「エルフの皆さん、無防備なうちに魔物の殲滅をお願いできますか?」


「ふん、ガキに言われなくてもやるところだ」


 奪われた服を着ながらローリエは言い捨てた。剣を執ると棒立ちのオークやミノタウロスを斬りつけていく。


「さて、妙蓮寺君、お待たせ?」


「あ、はい。いえっ、あの、待ってません、はい……」


「ニロの隷属魔法を解け」


 僕は5からゆっくりカウントダウンを始める。「5、4」ニロはヤツにとって僕らに対抗する切り札だ。「3……」だからこんなに粘っているんだ。


「解きました! 解きました! お待たせしました!」


 僕はニロに目をやる。サティに抱きついて大きな声で泣いていた。


「ごめんねぇサティ! 痛かったよねぇ!? ごめんねぇ!」


 本当に解いたようだ。良かった、ニロが戻ってきた。


「2……」

「えッ?! えっ!? 解きました! 解きましたよ!」


「1、0」ショーテルで妙蓮寺の足の甲を突き刺す。「あぁ、今のカウントは僕が君の足に穴を空けるまでのものだから。勘違いしちゃった? 聞かれなかったからさ」


 僕は妙蓮寺の脱ぎ捨てた衣服の中に、ロープがあるのを見つけた。それを妙蓮寺に放る。


「これで足をキツく縛れ。止血をしたいだろ?」

「あの? いったい何を……?」

「言う通りにしろ。それともなんだ? その耳は本当に飾りだと主張してるのか?」


 妙蓮寺は大慌てで自分の足をきつく縛った。


「一応警告しとくと、君には『スキルを使うと指が折れる呪い』をかけといた。19回までは使えるよ?」


「呪い? 19回?」


 僕は妙蓮寺の手の指を一本刈りとった。


「そうだよ。一本は痛みお試し用に、先に切っとくね?」


 僕は手を上げて声を張り上げた。


「妙蓮寺引き回し大会を開催しまーす!」


 すぐに憎しみで顔を歪めた人たちが大勢集まった。


「よーい、どん!」


 妙蓮寺はロープで引っ張られ、エルフの村の中央広場を、何度も何度も、何周も何周も引きずり回された。血の匂いをたどっているのか、ポットローパーが引きずられる妙蓮寺を追っていた。


「来るな! 来るなァ!」


 時折り追いつきそうになるローパーが妙蓮寺に触手を伸ばす。妙蓮寺は裏返った声で喚いた。


「引きずるなぁ! いやもっと早く引きずれぇ! 嫌だ! 痛い痛い! 引きずるなぁ!」

 相反する言葉を繰り返す妙蓮寺。


 ニロの番になる。


「お前はゆるさないからァ〜」

 ニロはフォークで何回も妙蓮寺を刺した。


「サティを傷つけた、フェニを傷つけた、ロロルを傷つけたァ〜」


 かなり強い怨恨だ。


 引きずられたことによる擦過傷で全身の肌が赤くめくれた彼の体に、刺し傷が追加される。ニロは離れていたローパーをぎりぎりまで引きつけて走り出す。


 広場を周る過程で、追いついたローパーの触手がフォークの刺し傷に触れるたび、妙蓮寺の叫びが響き渡る。


「もうそろそろ終わりにしますか」


 ボロボロになった妙蓮寺の指は何本か折れていた。引きずられている時に折れたのか、それともローパーを防ぐためにスキルで操ろうとしたのか。


「ゆるじで……くだざい…………」

「許さないよ。これは君が僕にしたことなんだ。今和野引き回し大会、覚えてるだろ?」

「いっ、今和野……? 引き回し大会……ぁあッ! 今和野、今和野一!」

「思い出してくれたか」

「もう止めてくれェ! 奴隷にでもなんでもなりばずからァァ」

「こいつが欲しい方」

「要るわけないでしょこんなの」

「だそうだ、妙蓮寺新之助君」


 妙蓮寺にローパーがたかる。何本もの触手が体じゅうを這い、ニロがフォークで空けたいくつもの穴を、無理やり押し広げて犯していく。


「ァア! や、メッ、入ってくふぅ、たずゲてぇ……!」


 ローパーの触手は、ドクンっドクンっと脈動して、妙蓮寺の中に何かを注いだ。


「クズが孕まされてクズが産まれたら困るからはやく片付けてちょうだい」


 ローリエさんが言った。気が合わないと思ってたけど、クズについては同意見だった。



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