初クエスト受注
◆初クエスト受注
マナの適性検査をした。
水晶玉に触って、色の変化を見るのだ。僕は魔族に多い闇の属性……黒が出てちょっとあたりをどよめかせた。
フェニは黒が強めの灰色。2人ともアニスが打ってくれた刀の色と同じだった。
ラベンダーさんがフォローするように言った。
「ロロルんは綺麗な闇色ネ。別に悲しまなくていいのよ? 闇属性が悪人の証拠にはならないワ。フェニちゃんはあたしとおそろいよ。身体強化系の魔法の適性。ところであなたたち、その歳で冒険者……ハンターになろうなんてリッパね」
「いえ、そんな」
「ゴメンね、立ち入ったこと聞こうなんてつもりじゃないのよ? 事情は人それぞれだし。もちろんあたしだって色々あったワ」
遠い目をするラベンダーさん。エリュアールさんが続ける。
「ラベンダーさんは転生者なんですよ。つまりクラフトです」
「その通りよ。前の世界では酷くいじめられてね。そいつらと一緒に転生して、死に物狂いで強くなって、見返してやったわ」
「そうだったんですか。尊敬します」
「エっ?」
「あ、その心の強さにです」
僕らが転生者だとは黙っておかねば。
「うふっ、強さはみんなの中にあるワ。焦らず精進なさい。ロロルんとフェニちゃんがギルドメンバーとして、正しく働くなら、たとえ素性が魔族でも奴隷でも、あたしが守ってあげる」
奴隷という言葉にどきりとした。
「はい! ありがとうございます」
正しく働く、か。
僕らがクラスメイトに復讐することを、ラベンダーさんはどうジャッジするだろうか。隠し事はしたくないけど、邪魔されるわけにはいかない。
「さ、長話もここまで! もしやる気があるなら、今日のうちに初クエストを済ましちゃいなさい。初めては簡単なヤツだから今からでも終わるワ」
「ロロル君とフェニちゃん、初クエストはこの2つのどちらかです」
エリュアールさんが2枚の用紙を差し出してきた。どうせ薬草集めかスライム退治だろうと予想したら、案の定。
「どうしようか?」フェニにきいた。
「私はどちらでも。ロロル君の決めたことなら」
「どちらでもかぁ……」
「どちらかに決めなくてもいいですよ」
迷っているとエリュアールさんが言った。
「どちらも気負わず出来るレベルのクエストです。両方クリアしてもらっても助かりますし、のんびり明日から始めたっていいんですよ」
静かで優しい口調につい甘えてしまいそうだ。大樹の木陰で休むみたいな、そんなやわらかな気持ちになる。
でものんびりはしてられない。お金も必要だし、早くこの世界に慣れなければ。
「2つともクリアを目指します」
そう言うとエリュアールさんはにっこり笑い、綺麗な手をぎゅっと握ってファイトのポーズ。
「わかりました。がんばってね! ファイト、おーっ!」
真面目さとお茶目さを備えているのか。求婚者が押し寄せるのも頷けた。
「がんばろうね」僕はフェニに言った。
フェニは不敵な笑みでもってそれに応える。
賭けに負けたことが今更恐ろしくなってきた。




