正義感からの始まり!
「あぶねー、あんなの当たったら死ぬぞ」
間一髪で魔力を帯びた拳を避けた。
しかし、避けた事により辺りの建物は崩壊しておりまさに地獄。
「ママー、どこどこなの」
「何よこれ、何なのよ」
「あー、終わりだ。俺の家が」
爆発音や悲鳴が聞こえる。
「関係ない人間も巻き込んでしまいましたか、でも仕方が無い」
再び拳に魔力を込める赤髪の美少女。
それに対抗するように右手を前にかざした。
「それ以上暴れるな、次はこの右手でその魔力頂く」
熱風が吹き溢れ、火の海となったボロアパート周辺。
カズキは人間である。
その為酸素濃度が下がった火の海で徐々に体力が奪われていた。
それに比べ魔界の生物である赤髪の美少女は人間と体の作りは違う。
酸素、食べ物、飲料水を必要としなく、その代わりに魔力を必要とする生き物なのだ。
要は魔力さえあれば永遠と生きていける志高の存在。
それゆえ最強。
負けるはずの無い戦い。
赤髪の美少女は攻撃を仕掛けた。
魔力の帯びた拳は荒々しく、触れたものを全て粉々にした。
現に瓦礫の破片が頭上から落ちた時、その拳は瓦礫を粉々にしたのだから。
カズキは構える。
避ける事は出来たかもしれない。
だがこれ以上関係ない人を巻き込む訳にはいかない。
後ろにはまだ避難しきれてない人が複数いる。
ここで避ければ彼らの命は無いだろう。
「来い、悪魔!」
「次こそ死ねー」
■ ■ ■ ■
勝負は一瞬のうちについた。
当たり前の結果であろう。
人間が魔界の生物に勝てるはずが無い。
「う、腕がぁぁー」
カズキの右手は粉々になった。
右手から血が流れ、このままでは大量出血で死に至るかもしれない。
「何故だ、何故魔力を吸収出来ない」
右手は痛い、痛むが自分の力が通じなかった。
その悔しさが言葉を発した。
「簡単な事だ。お前の能力はだいだい分かった。魔力を吸収し放出する力だろ。だったら簡単だ。純粋に物理で攻撃すればいいんじゃないかってね。事前に魔力を切ればお前に吸収もされない。物理なら吸収される心配もない。お前の能力は悪魔にとって恐るるに足らないって訳」
意識が朦朧とする中、自分の無力さを感じた。
正義感の為にグラサンのおっさんを助けた。
それが始まりだ。
右手を失い気づいた。
やらなければよかったと…
カズキは出来た人間では無い。
普通に嘘もつくし、人を殴った事もある。
ラノベの勇者のように人の為に命を捧げる精神など持ち合わせていない。
自分の命優先なのだ。
サイレンの音が鳴り響き初め少年カズキは意識を失った。
continue…
ストックが少なくなってきたので投稿頻度下がります。
最低週一には投稿します。