ドアからの始まり!
時系列的には一話の続きです
「どうしようどうしようどうしよう!!!!!!!!!」
慌てふためく赤髪の美少女は頭を抱えていた。
数分前、人間でありながら特別な力を宿している【選ばれし者】——だと思っていた人間を殺してしまったからだ。
「このままではまずいすっごくまずいのです。どうすればこの事をなかった事に...」
赤髪の美少女は殺した事実をなんとか無かった事にしようと右往左往していると追い打ちをかけるように唐突にドアをノックされた。
急なことに思考が回らなかったのかカズキ、赤髪の美少女にとってはカズキシという少年を置いて自分だけボロアパートの押入れに身を隠した。
「カズキさんいるんでしょ?」
「わざわざ借金の取り立てに来たんですよ。出てきてくださいよ、あっ忠告しときますけど窓から飛び降りても無駄ですよ。仲間が待機してますので」
不気味な笑みを浮かべ逃げ口を塞ぐ柄の悪い借金取り達。
中年男中心で先頭に立っている男がリーダーなのだろう。
そのリーダーの命令を元にボロアパートの周りを取り囲んでいた。
「えっ何々何々何々」
押入れの中で動揺を隠せない赤髪の美少女。
それも当然のことである。勘違いで関係ない人間を殺してしまい、そのうえ前触れもなく激しくドアを叩く音が鳴り響いたからだ。
「出てこないのならしょうがないですね」
ため息交じりに言う借金取りのリーダーはドアを破壊するように命令した。
ボロアパートなのでドアは三十秒も経たないうちに破壊され侵入を許してしまった。
大きな音が鳴り響いたため赤髪の美少女は涙目になっていた。
ブルブル震えていると借金取りの一人が悲鳴をあげ、それに便乗するかのように二人、三人、四人と部屋に入る人数分に比例するように悲鳴をあげた。
リーダーがどうしたと言わんばかりに部屋に入っていくと強面で冷静なリーダーでもさえ悲鳴をあげた。
「これお前らがやったのか?」
ドアの下敷きになっている人間を指しながら皆に尋ねるが皆青ざめた様子でだんまりしていた。
「俺は確かに前の借りを返せとは言ったが殺せとは言ってないぞ」
「いや、こいつがドアの前にいたのが悪いんっすよ」
部下の1人がそう言うと一目散に逃げていった。
しばらく沈黙した後リーダーとその残りの一味は人を殺してしまったという恐怖から取り乱し、一同一斉外へ逃げだした。
「次は何なのよ」
誰も居なくなったのだろうか静けさが訪れ、赤髪の美少女は押入れの隙間から目を覗かせ部屋中を見渡した。
誰もいないようなので押入れから出ると自分が勘違いで殺してしまった少年がドアの下敷きになっていた。
「この人間カズキというのね勘違いして魔法を撃ってしまったわ...」
赤髪の美少女はやっと自分が誰に向かって魔法を撃ったのかハッキリした。
「それにしてもさっきの人達何故悲鳴をあげていたのかしら?」
しばらく考え込んでいると答えが見つかったのか不敵な笑みを浮かべた。
それと同時に胸にある赤いブレスレットが光った。
「...あっそういうことね」
——ドアを破壊し、その下にいるカズキという少年なるほどなと呟き、何かを企てた様子で外へ羽ばたいていったのである。
——ドアがピクリと動いた事に気づかず...
今回は辞書などを使い書きました。
所々変な表現の仕方があるかもしれません。
その際は感想等で教えていただけると幸いです。