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勘違いは日常茶飯事!  作者: 椚 都無羅
出会い編
1/7

プロローグ

遅れましたがプロローグです

ここは魔界。


うす気味悪い闇の奥深くにそびえ立つ魔王城で事件は発生した。


いつものように悪の所業をおこなっていた魔王を含む総勢一万の悪魔がたった半日で半壊したのだ。


魔王は魔界の中で最強と呼べる存在。魔王の部下達も相応の実力を持っているはず。


その者達を容易く倒し、半壊まで追い込むのは相当の実力者であろう。


それを見越してか魔王は、各地域に配属させている幹部を魔王城に召集をかけた。


「一体何者の仕業だ...目が覚めたらこの様だ」


眉間にしわを寄せ考え込んでると流れ弾である火の矢が飛んできた。


「ふぅー危ない危ない、お父様お気を付け下さい」


汗を拭う仕草をし、ほっと安堵した様子でいる赤髪の美少女は火の矢を軽々と掴んだ。


「そんな魔法わしには効かないのは知っているだろう」


嘲笑まみれに一人娘の掴んでいる矢に触れ抹消してみせた。


「ほらな、わしの加護である中級魔法以下無効がある限り大抵の魔法は効かんよ」


「さすがお父様。中級魔法以下の攻撃はお父様に触れた瞬間抹消される。魔王たるお父様にふさわしい加護ですわ」


魔王である父は娘の前でしか見せない照れくさい表情を浮かべ、娘にニッコリと笑みを浮かべた。


「お父様がいると魔界は安定ですわね、お父様がいないと強弱の均衡が崩れてしまいます」


「うぬ。そのためにも、この戦いは負けられない。ここもいつ攻めてくるか分からぬ。幹部が到着するまで十分に警戒を怠らぬことだ」


娘に魔王軍の援護にまわるように命令を出し、娘は了解しましたと言い外へと飛んでいった。


魔王は現状把握するために千里眼を使い辺りを見渡した。


「何っ...いるのは同じ悪魔ではないか。悪魔は全て我が支柱に収めてるはず...ッ」


ありえないものを見てしまい頭をふらつかせた。


現状を完全に把握した魔王はこの戦いに勝つことは0に等しいことが分かり、急いでワープゲートを生成した。


このままでは我が軍は崩壊してしまい、娘も失ってしまう。


そう考えるだけで汗がにじみ力んでしまうのだ。


  ◆◆◆  ◆◆◆ ◆◆◆


「魔王様が幹部達をお呼びになりましたわ。あともう踏ん張り頑張っていきますわよー!」


優雅に飛び降り喝を入れる勢いで叫んだ


(さぁーて私もお父様に良い所をお見せしませんと)


気合十分で力が湧き出でくる赤髪の美少女は敵を薙ぎ払っていき、味方の援助もおこない魔王軍のモチベーションはマックスである


「お嬢様がきたぞー!」


「これで我が幹部もそろえば鬼に金棒だー!」


「敵を薙ぎ払え!」


「お嬢様に続けー!」


言っている事はバラバラであるがどれも魔王様、その娘の事信じての発言である。


あともう少しで幹部達がくると思うと疲れていた事も忘れ逆に力がみなぎってくるのだ。


「前衛から強い魔力を感じます。」


「全体警戒態勢!!」


指揮をとっているのは幹部とはいかないものの相当な実力者であるA級悪魔ブリッケである。


敵の魔人、魔物はほぼ片付き残りは強い魔力をもつ謎の黒影を残すのみだ。


ブリッケは待てと命令し、魔王の娘である赤髪の美少女と一緒に前へ出た。


「あ、あれは幹部のマモン様ではございませんか!」


幹部が来たことに安心したブリッケはマモンの名を呼びながら駆けていった。


その様子を見た残りの魔王軍A.B.C級悪魔達も安心し警戒態勢を解いた。


ブリッケと一緒にいる赤髪の美少女さえも安堵し肩の力を抜いた。


「マモン様現状をつたえ———」


突如ブリッケの首がとんだ。


奇襲かとA.B.C級悪魔達は再び全体に警戒態勢をとった。


しかし、赤髪の美少女は全体では無くある方角にのみ警戒をとった。


「マモンどういうこと!」  


「あらら~お嬢様に見られてましたか。作戦では奇襲と見せかけて全員殺すつもりでしたのに~」


A.B.C級悪魔達が絶句してる中、ゆっくりな口調で述べるマモンはそのまま舌をぺろりと舐めブリッケの血を味わいながら答えた。


「A級悪魔ともなるとなかなかに美味ですな、もうちょっと頂こうかな」


マモンが一歩足を踏み入れただけで分かる膨大な魔力量、対人するだけでもやっとだがA級悪魔ブリッケがやられてしまった今では私が先陣をきらないと皆がやられてしまう。


それだけは阻止しないいけないと思い赤髪の美少女は一歩踏み出した。


「やめときなよ、お嬢様あんたじゃ僕には勝てないよ。そこらにいる雑魚共もな~。雑魚の血程まずいもんは無いからな、何もしなかったら命まではとらねぇよ。強くなるまでお預けだ~」


のんびりとした雰囲気で述べているが述べてる内容は残酷で残任である。


未だに混乱してる魔王軍だが一緒にいた時間が長く、優しい嬢様の言動ぶりを見て、マモンが我らの敵であると判断した。


何故幹部であるマモンが魔王様を裏切ったのか疑問に思う赤髪の美少女と魔王軍の悪魔達。


しかし、それ以上に今は仲間であるブリッケを殺したマモンが許せなかった。


ブリッケはA級悪魔であり、そう簡単には負けることはない。


しかし、マモンに一撃でやられた。


その実力は、目の前で見た者が一番分かっている。


勝てないと分かっているが己の心が逃げることを許さないのだ。


「我らの仲間であるブリッケを殺したマモン、そして我が主君である魔王様を裏切ったマモン!!決して許してはいけない!!」


「おおぉーー!!!」


悪魔の一人がそう叫んだ時、悪魔の雄叫びがあちらこちらと鳴り響きマモンへ攻撃を開始した。


呆れ果てたマモンは、腕を横へ振り悪魔軍を一瞬のうちに薙ぎ払った。


「君たちはまだ弱いから殺さないよ、ちょっと寝ててね~」


魔法も使わず相手を倒す。これがS級悪魔とA.B.C級悪魔の格差なのであろう。


しかしそれでも倒れていない悪魔がいた。


魔王の一人娘である赤髪の美少女だ。


実際立っているのもやっとであるが、その素振りを見せず堂々としている。


流石魔王の子だ。

 

「お、お、おおお倒れてない、この中では一番強いのかな、小腹空いちゃったし食べようかな」


お腹を鳴らし、物欲しそうにお嬢様を見つめるマモンはゴクリと喉を鳴らした。


「食べようっと..ちょっとぐらいいいよね」


舌をさえずり、涎をたらしたマモンは猛スピードでお嬢様に襲いかかってきた。


「っう..あのスピード避けられない...」


「いっただきまーす..っぐ」


お嬢様の首にかじりつこうとしたマモンは急に出現したワープゲートにより吹き飛ばされた。


ワープゲートから出てきたのは鎧の上からでも分かる程の強靭な肉体、両方のこめかみから生え出る角、そして威圧のあるオーラを醸し出していた。


「おとう、魔王様!!」


お父様と呼ぼうとしたが計り知れない威圧のあるオーラにあてられ魔界で最強の称号である魔王様と呼ばずにはいられなかった。


「おのれ、マモン裏切ったな!!」


「そうですね、はい、裏切りましたよ~」


「その口調は変わらぬようだな、へし折ってくれるわ!!」


「はっはぁ~」


挑発をしたマモンはすかさず魔法を詠唱し始めたが詠唱を唱え終わると同時にマモンの顔が抹消した。


残った体にも容赦なく殴りかかり、遂には原型を留めなくなっていた。


「はぁー歳はとりたくないもんだな」


赤髪の美少女は言葉も出ずただ見てることしか出来なかった。


あのS級悪魔マモンが一瞬で殺され、1分で原型を留めない残酷な姿になっているのだ。


驚きを隠せないのも無理はない。


赤髪の美少女は魔王様のこんなに怒っている姿を初めて見る。


仲間を殺され、なにより自分の一人娘も殺されそうになったのだ。


本気を出さないと守れない、そう思い自分のリミッターを解除したのだ。


今の魔王は誰にも倒せない


——はずだった...


「ううぅっ」


魔王の胸に光の刃が突き刺さった。


魔王に当たるという事は上級魔法以上という事であろう。


不意を突いたとはいえ普通なら避けれるものを避けられなかった。


歳と疲労のせいであろう。


「魔王様ぁぁ」


倒れた父の姿を見た赤髪の美少女は泣き叫んだ。


先程の無類の強さとは対に弱々しい姿である。


邪念を抱き刃のとんできた先を睨むとそこには予想だにしていない顔ぶれが勢ぞろいしていた。  


「何故だ何故だぁ揃いも揃って!!」


「私達魔王幹部はある方に付いて行くことを決めましたので、急で申し訳ないのですが脱退させていただきます...そしてこの魔王城を我が主君に捧げたいと考えておりますので、ここから立ち去っていただけないでしょうか?」


幹部のリーダーである魔人が丁寧な口調で問うた。


「裏切っただけでは物足りず、ここを受け渡せとは無理に決まってますわ!!」


「そうですか…ではしょうがないですね」


そう言い隣の魔人に目をやった


「魔王様は時期に死にます。お嬢さまはそうなると寂しくなるでしょう。せめての情けです。魔王様と同じ所へお送りなさいルシフェル」


色慾溢れるスレンダーな魔人が命じた。


「了解」


ルシフェルは赤髪の美少女の元へ近づいた


─が巨体がそれを阻んだ。


「ぅう..ここは通さんぞ!!」


光の刃が体力を徐々に奪っていく中、それでも立ち上がり手を広げゆく手を阻んだ。


「まだ生きていたのですか。いくら魔王様とはいえ光の刃で生きていられるはずがありません、時期死にますよ」


不敵な笑みを浮かべ魔法を放っていく。


「あ~中級魔法以下無効の加護があったんでしたね。これじゃ、なぶり殺しも出来やしませんね」


「お、お父様逃げましょう、今の状態では勝てませんわ」


「無理だ。わしはもう長く持たん、昔の古傷も開いてきてるからな、お前だけでも逃げろ!!」


魔王様は懐から魔法書を取り出し赤髪の美少女に渡した。古く汚れていてノートの最初のページに【選ばれし者】と書かれており後は異界の文字で読めない。


「お父様これは一体なんですの?何故私に?」


涙目で心配そうに魔王の顔を覗き質問をした。


「この魔法書は代々魔王になった者に受け継がれる新器。今日からお前はわしの後を継ぎ魔王となるのじゃ、頼んだぞ」


「そんな、私じゃ力不足ですわ」


娘の性格上戦うという選択肢をとる可能性があるとみた魔王は苦渋の選択であったが魔法で娘を眠らせ、目から出た涙を拭い元魔王幹部から娘を守るようにして立ちはだかった。


「それはそれは探していたもの、魔王城から探す手間が省けました。それを渡してくれませんか?」


「裏切ったお前らに渡すものか!!これは代々魔王に受け継がれてきた魔法の書なのだ!!」


「そうですか仕方がありません、力づくで奪うのみです」


もう命の灯火が限界に近いと察し、魔王は娘だけでも逃がすべく、どこに繋がるか分からない不安定な魔力でワープゲートを生成し始めた。


ワープゲートを作っている最中は他の魔法が一切使えない為、魔王は娘を守りながら己と戦い続けた。


腕を凍らせられ、足が麻痺し、腹に穴が開いてもワープゲート完成するまで意識を失わないよう懸命に戦った。


ワープゲートが完成した後魔王は最後の力を振り絞って赤髪の美少女をワープゲートに投げ込んだ。


「行かせるかぁぁぁ!!!」


ルシフェル含む幹部達は赤髪の美少女を追うべくワープゲートに入ろうとしたが


巨体の壁がそれを阻み、ワープゲートが消滅するその時まで意識を保ち続けた


「くそ、邪魔だ、この巨体がぁぁぁ!!!!」


ワープゲートは消滅した


「これで娘は生き残れる...後は頼んだぞ…新たな魔王よ!」


最後の言葉を残し光の光線が顔面を貫き、魔王は命尽きたのだった。


  ◆◆◆  ◆◆◆ ◆◆◆


「んんん..っは..ここはどこだ!!」

 

車のクラクションで目を覚ました赤髪の美少女は辺りを見渡したが見覚えのない建物、物体ばかりで混乱していた。


ふと手に持っている魔法書を見て状況を把握した。


「そうだお父様、お父様どこですの、お父様ー」


いないと分かっているはずなのに喉が枯れるまで叫び続けた。


いないと分かっていても居て欲しいと願う。


何処か分からない場所、不安でいっぱいでどうしたらいいのか分からない赤髪の美少女は魔王が最後に残した言葉を思い出して、魔法書を開けたが、やはり何が書いてあるか読めない。


ただ読めるのは【選ばれし者】の表記のみ。


「私はどうすればいいんですのー」


頭を掻きむしり魔法の書を最後のページまでめくった。


「何も分かりませんわ、お父様私に何を託したかったんですの。私はこれから…どうすれば…」


思わず涙が溢れこの世にはもう存在しないであろうお父様を思い浮かべた。


強くて誰からも尊敬されて幹部達からの信頼も厚かった。


そのお父様が幹部達に裏切られた。


何故裏切られたのは分からない。


それを知る為には魔王城に戻らなと。


それに私は魔王の子強くなければいけない。


お父様のように!


「こんな所で立ち止まってる訳にはいきませんわ」


涙を拭い立ち上がった


すると魔法の書が輝き出した


「何ですの?」


魔法の書を開いてみると読めなかったはずの文字が読めるようになっていた。


「こ、これは何ですの??」


読めるようにはなったものの土地勘は無いので、理解は出来なかった。


例えるなら見知らぬ地で見知らぬ住所を教えられるようなものだ。


それに赤髪の美少女は住所の概念すら分からない。


「文字は読めるようになりましたし、誰かに聞いたら分かりますわよね」


自分を元気づけ赤髪の美少女いや、新たな魔王は路地裏を抜け町の方へと駆けて行ったのだ。


continue…

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