ゲストルーム その2
「あ……れ…」
功太の伸ばした腕は所在なく空を彷徨う。ベッドの上から周囲を見回すが誰もいない
「夢…か……?」
首に触れると先ほど絞められた感触が甦り、夢だったとは俄には信じられなかった
「まさか…お化けとか…」
功太は自身で呟いた言葉にすぐさま後悔をした。
辺りに置かれた年代物の家具や調度品は見方を変えればミステリアスで恐怖心を感じさせる。元来お化け屋敷やホラー映画が苦手な功太は目に映る物の全てが怪しく思えてくるのだった
「ば、バカバカしい…お化けなんて居るわけ無いだろ」
サイドテーブルに置かれた時計を見ると、時刻は夜中の2時15分俗にいう丑三つ時だ。功太は思わず苦い顔を浮かべる
「もう、寝よ寝よ…」
脳裏に過る恐怖を振り払うようにベッドに横たわり布団を頭まですっぽりと覆うと、功太に予期せぬ事態が訪れる
「やべぇ…トイレ行きたい…」
突然の尿意に功太は苦悩する
「どうしよう…」
トイレへ行くには、部屋を出て廊下の先にある階段近くまで行かねばならなかった、我慢して朝までやり過ごすかとも考えたが一度感じた尿意はどんどんと大きくなっていく
「あぁ~もうクソッ!」
渋々起き上がると、功太はトイレを目指して部屋を飛び出して行った