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ダイニングルーム

「お風呂ありがとうございました。色んなボタンがいっぱい付いてて凄かったです、俺あんなお風呂に入ったの初めてです」

ダイニングルーム入るや否や、金子に興奮気味に語る

「気に入ってくれて良かったよ。お風呂は僕の趣味でリフォームしたんだ」

「もう最高でした。入ってる間はセレブになった気分でしたよ」

自身がこだわってリフォームした事もあり、浴室を誉められた金子は上機嫌だ


「そんなに気に入ったんなら、うちの子になる?そしたら、いつでも入れるよ」

「なります、なります!アハハハッ」

屈託のない功太の笑い声は周囲を明るくさせた


「ご飯の支度が出来てるから、テーブルへどうぞ」

「やった~ありがとうございます!」

待ってましたとばかりに、功太のテンションは更に上がっていく。しかし、テーブルに並べられたグラスの数に功太は疑問を抱く


「あの…金子さんって、1人暮らしなんですか?」

大きなテーブルの上に置かれた2つのグラスに、功太は首を捻る。そういえばこの家に来てから金子以外、誰の姿も見ていない。こんなに大きい家な1人で住んでいるのなら掃除も大変だろうなと功太は呑気な考えを抱く


「両親も随分と昔に亡くなって、まぁ…色々とあって、今は…娘…と暮らしているんだ」

金子は答えはどこか歯切れが悪い

「む、娘は身体が弱くてね。今は…2階の部屋で寝ているんだ」

「そうだったんですか…俺ってば、そんな時に押し掛けたりして、すいませんでした」

「気にしないで、誘ったのは僕のほうだし。久し振りに賑やかで僕も楽しいんだから」

「それなら…良かったです」

金子の言葉に功太は少し気を取り直す。

こうして色んな事情を抱えた人と出会う事もヒッチハイク旅の醍醐味でもあった


「さぁ、せっかくの料理が冷めちゃうから早く食べて」

金子は大きな車輪の付いたキッチンワゴンをテーブルの側に押して来ると、真っ白いクロスの上に皿を並べ始める。皿からは暖かな湯気が立ちのぼる

「こ、これって…!」

目の前に置かれた皿を覗き込み、功太は思わず驚きの声を上げた


「鯖の味噌煮だよ。昨日から食べたくてね、朝から下処理をしておいたんだ」

「……」

饒舌な金子と対照的に功太は落胆の色を隠せずに口を噤んでしまう。

「もしかしてお魚苦手だった?若い人にはお肉のほうが良かったかな…」

「そ、そんな事ないですよ。俺の住んでる所は海の近くなんで、夕食にはいつも魚が出てきましたから!」

功太は慌てて弁解をするが本音を言えば、いつも魚ばかりだったからこそ肉が良かったなどと図々しくて言葉には出来なかった








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