浴室
浴室もまた広々としたスペースではあるが功太が想像していた、大理石のお風呂にライオンの形をした湯口から溢れる出るお湯はどこにも無く、温泉施設のようなジェットバスや高画質なテレビやオーディオ、幻想的な照明が設置されたハイテクな作りだった。
当初は薄汚れている自分を心苦しく思い遠慮がちに入っていた功太も備え付けられた数々の機能に大はしゃぎで、気が付けば長湯を堪能してしまう。
のんびりと湯船に浸かっていると腹の虫が空腹を知らせるように音を立てる
「そういえば昼に食パン食っただけだったなぁ…」
旅費を節約する為に食費を削っている功太の主食は専ら食パンだ。豪華な具材を挟むわけも無く、薄くジャムを塗るか塩を振るだけの質素な物だった。
しかし、今日は久し振りに豪華な食事に有り付けそうだと期待に胸を膨らませる
「どんな飯かな~やっぱりステーキ、それともフォアグラかな~俺フォアグラなんて食ったこと無いな~どんな味なんだろう」
考えれば考えるほど功太のお腹の音は益々大きくなり、浴室に反響していく。我慢の限界を向かえた功太は風呂から上がると大雑把に着替えを済ませ、期待と願望に心を弾ませながらダイニングルームへと向かった