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古い洋館

20分ほど車を走らせたどり着いた場所は、小高い丘の上に建てられた古い洋館だった

「着いたよ」

「えっ!ここが家なんですか?!なんか映画やドラマのセットみたいですね」

趣のある外観は一般的な家屋とはだいぶかけ離れており、初めて目の当たりにした功太は興奮気味に周囲を見回す


「お化け屋敷みたいでしょあ。僕の父親の趣味で建てられた物なんだけど、子供の頃はよく吸血鬼が住んでいるだの首の無い鎧が夜な夜な歩き回っているだの言われたもんだよ」

確かに子供の目線から見れば、この古めかしい雰囲気の洋館はお化け屋敷の類いに思われても可笑しくは無いのだろう

「そんな事ないですよ!めちゃくちゃ格好いいですよ、こんな家に泊まれるなんて、俺ってば運が良すぎ!って思いましたもん」

「ハハッ、ありがとう。父はもう亡くなってしまったけど、そんな言葉を聞いたらとても喜ぶよ」

「せっかくだから俺も会って見たかったです~」

「そうか、それは残念だったね…」

金子は銀縁の眼鏡を軽く指で押し上げると、どこか寂し気な目で洋館を見上げた


先を歩く金子の後を追って行くと、功太は家の中へと通された。玄関、廊下と進むに連れて見るからに高そうな調度品や家具が置かれており、それは目利きの才能の無い功太ですら自分にはとても買える代物では無いと瞬時に悟ったほどだ

「家の中も凄いですね!」

「古い物ばかりなんだけどね。気に入ってくれたなら良かったよ」

初めて見る物ばかりのせいか、功太は子供の様に目を輝かせている


そうして案内されたゲストルームには、細部まで細かく彫刻があしらわれたソファとテーブルの他に、丁寧にベッドメイキングされた大きなベッドなんかが置かれており、まるで高級ホテルの並みの室内に功太は口を開けたまま固まってしまう


「じゃあ、お茶でも用意してくるから功太くんはソファにでも座ってゆっくりしてて」

金子の言葉に功太は慌てた

「俺、こんなに汚れてるから、こんな綺麗なソファには申し訳なくて座れないですよ!!」

確かに功太の服装や身体にはところどころ土が付いていたりと、お世辞にも綺麗だとは言い難い

「僕のほうこそ気が回らなくてごめんね。先にお風呂の準備をしてくるよ。ちょっと待ってて」

そう言うと、金子は慌ただしく部屋を出て行ってしまった。残された功太はソファに座るわけにもいかず、金子が戻るまでのあいだ扉の真横でリュックを抱えて立ち尽くすしかなかった



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