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彼と海に行ったら

作者: 夜野 蝶

今日は、楽しい楽しい海水浴の日。私は、かっこいい彼と近くの海に来ていた。彼の運転する車に揺られながら、見えてきた海に私は目を輝かせた。けれど、もう夕方だ。泳ぐのは明日にしよう、という彼の反対を振り切って、私は水着に着替え、海の中に飛び込んだ。

 私は浅瀬で久しぶりに泳いで、海を楽しんでいた。

「あんまり遠くに行くなよ」

彼は私のことが心配なようで、砂場で私を見守っていた。どうせなら、一緒に泳いでくれれば良かったのに。私は少し不満に思いながらも、波と戯れていた。

 ゆっくり日が暮れてきた頃。彼が私に帰ろう、と声をかけてきたので、私は海から上がることにした。あんまり暗くなっては危ないし、周りの人もどんどん海から上がっていたからだ。私が海から出ようとしたその時。足の裏で、何かに触れた。手探りで触れた何かを探す。それは、貝殻にしては大きく、穴も開いていた。すっと、持ち上げる。

「きゃっ」

「どうかしたか」

彼が私の悲鳴に反応して私のもとへ駆け寄ってきた。今のは確かに、人の、頭、頭蓋骨だった。

 私はそのまま海を上がった。もう一度触る勇気など、なかったからだ。あれから何日も経つが、あの海で骸骨が発見されたという話は、まだ、聞かない。

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