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小心者の警備員

私は経営の傾いた地方のデパートで警備員をしている。


もう20年以上になるだろうか。


やることと言えばたまにデパートの回りに若い田舎のヤンキーがたまることがあるからそれを穏便に追い返すくらいのもの。


あいつらは本当にたちが悪い。


暇を潰すためにどこかに集まっては余計なことしかしない。


以前にデパートの壁にカラースプレーで落書きされたときは散々な目にあった。


社長は夜、金をケチって私一人に警備を押し付けておいて全て私のせいだと言われた。


受けた仕打ちは半年間の給料ダウンだった。


それ以来、不良が集まっているのを見つけてはやんわりと他所へ行ってもらうように言うのだが聞き分けの良い奴なんているわけがない。


口汚く罵ってくるのは当たり前。


悪いときは胸ぐらを掴まれることもある。


奴等は自分の力を誇示したいのだろう。


うっとうしい限りだ。


今日も見回りを済ませてデパートのセキュリティをオンにして帰宅。


不良が集まっていなかったのでスムーズに帰ることが出来た。


ホッとして家路につき。


誰もいない玄関くぐり、晩酌を煽ってさっさと眠った。


明日も朝が早い。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



早朝、目が覚めて手早く身支度を済ませてデパートに向かう。


まだ、薄暗い時間の見回りが大嫌いだ。


デパートの従業員用の裏口から入っていくとデパートの中はほとんど日の光りは入ってこない。


非常灯の灯りは薄気味悪い。


20年も警備員をしているがいまだに嫌いだ。


一階、二階とサッと見回って三階に行こうと吹き抜けの動いていないエスカレーターに足をかけて上り始めたとき、


空耳か?


三階のフロアから物音が聞こえた気がした。


なんだ?


元々小心者の私はゆっくりエスカレーターを上がっていく。


あのフロアは嫌いだ。


ファッションフロアのマネキンは非常灯の灯りと相まっていつ行っても不気味だ。


その上、何十年もずーっと使われているのに気味悪いほどにピカピカのマネキンがある。


私はあれは呪われていると思っている。


明らかにおかしい。


私が来る前からあるのにいっこうにくたびれていない。


他のマネキンは大体入れ替わっているのにだ。


そのマネキンのあるファッションフロアから物音が聞こえた。


嫌な汗が背中をつたう。


ゆっくり一段、また一段と上がって行くと…


・・んぅぅ


・・・・いぃぃ




唸り声の様なものが聞こえて


・・ビリ



・・・ビリビリ



と、布を裂くような音も聞こえる・・・



エスカレーターを中ほどまで上がった所で足がすくんで動けなくなった


・・テヤル


・・・・キサイテヤル


私は恐怖と


その先にナニがあるのか?


その好奇心とに挟まれてゆっくりエスカレーターを上っていく


そして見えてきたのは床一面に散乱した衣服と




ヒキサイテヤルッッッ!!!




そう呟きながら服を引き裂くあのマネキンだった




「ああぁうわぁぁっ」



我慢できずに小さく悲鳴をあげてしまった





マネキンと目があった





・・・・・!!!!!





一瞬間があったあと、私は上がってきたエスカレーターを全速力で駆け降りた!!




後ろから


「アーハッハッハッハァァーー」




っと言う笑い声が聞こえた。






警備員やめよう


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