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ヒロイン?登場

「えっ!?お前あの悪霊やんな?」


イチゴのストラップに問いかける


「そーよー、でも悪霊じゃなくてーイチゴちゃんって呼んでほしいなー。」


ぶりっ子しながら悪霊が喋っている。

なんかごっついオッサンが女装して喋ってるみたいな感覚。


「イチゴちゃんなんで指輪から移ってんのん?

てゆーかまともに喋れたんやね!」


とかげが普通に喋りかける。

順応はえーなお前。


「昨日、ピカッとなって私も弾き飛ばされたのー。

その時に私にまとわり憑いてたのが飛んでったみたい。

指輪からこっちに移ったのはー…

よくわかんない!」


ぶりっ子で喋っているのがイラッとくる。


「そーなんすね。

イチゴちゃんも取り憑かれてたんっすか?」


なぜ普通に喋れるんだ、とかげよ。


「まぁ、元はと言えば私がちょっとうじうじしてたのがいけないんだけどねー。

生きてた時にいろいろあってさー、それで皆も不幸にしてやるーってちょっと思っちゃったらー、色んな悪い人達が集まっちゃってー、

気がついたらあんな感じになっちゃってたのー。」


アカン…俺こいつ嫌いや…

(Sとうたまお)と(はるなAい)を足して割った感じや。


「ウワー!苦労したんすねー。

正気に戻れて良かったっすね!」


「ほんとにー、昨日まではなんかずーっとイライラしててー、廻りの物ぜーんぶ壊してやるーって思ってたんだけどー、昨日本気出して大暴れしたらなんかスッキリしちゃったのー!二人にも迷惑かけてゴメンネー」


こっちはもうちょいで取り込まれてうねうねにされそうなったのにゴメンネーですませれるかいな…


「アニキ、さっきから黙ってますけどどないしたんすか?」


「おい、悪霊」


「いやー、悪霊って呼ばないでー」


「ど悪霊やないか!人の魂食おうとしたし俺らのことも取り込もうとしたのにゴメンネーですむかいいな!」


「まぁまぁアニキ、正気じゃなかったらしいし、イチゴちゃんも謝ってるし、とりあえず皆無事やったから、ね?」


「ね?ちゃうがな!こんな悪霊ほっといたらまたなにするかわからんで!」


「ひどーい」

そう言って悪霊は泣き始めた。


「アニキ、イチゴちゃん泣いたじゃないすか」


「悪霊に涙腺なんか無いがな!酷い思てんねんやったら今すぐ成仏せぇっ!」


「悪霊じゃなくてイチゴって呼んで!」


「アニキそないに言わんと、イチゴちゃんもせっかく正気に戻れたんやし、喋ったら仲良くなれるんちゃいます?」


「悪霊と仲良くなれる訳無いがな!」


「悪霊って呼ばないで!」


「アニキ、もう悪霊って感じもしないじゃないすか、ね?」


「ね?ちゃうやん!悪霊と一緒におったら安心できひんやん!正気に戻ったんやったら成仏しーや!悪霊反対!」


ゴゴゴゴゴ


「「えっ!?」」

家中がガタガタと揺れだした。


「悪霊って呼ばないで」


イイィィィィイィィ

と高い音を起てたかと思うとパンッっとテーブルの上のグラスが弾け飛んだ!


「悪霊って呼ばないで」


凄まじいポルターガイストパワーが家中を震わせる!

さっきまでの可愛い子ぶったしゃべり方がなくなりドスの効いた低い声になっている


「ごめーん!もう言わんから許してー!」


「アニキー!コワーイ!!俺まだ消し飛びたくないー!」


木造の家がみしみしと悲鳴をあげる


「イチゴちゃんって呼んで」


家具が重力を無視してふわりと浮いた


「浮いたー!アニキ浮いてるー!家具が浮いてるー!」


「イッチゴチャーン!イッチゴチャーン!」


「私と仲良くしてくれる?」


「ぃよろこんでぇー!仲良くしまーす!」


ガタンッガタンッ


そこら中でけたたましい音をたてて家具が落ちてきた


「良かったー」


家がぐっちゃぐちゃになった。


「イチゴちゃんすげー」


すげーやあらへんがな…

恐すぎるわ…


そこに寺の住職を連れて家族が帰ってきた。


ぐっちゃぐちゃの家を見て絶句している。


悪霊、短い付き合いやったな。

俺は心のなかで呟いた。

さぁ!そこの悪霊をしょっぴくんやで!人の魂食おうするど悪霊や!


……え?


………なんで?


おっさんは俺を名指しでこれを拾ってきてからおかしな事が起き出したといっている。


「あー、確かにアニキと一緒に家族脅かして遊びましたよね」


「全部、俺のせいなん?とかげが散々やってくださいよ~って言ったんやん!」


「その辺、家族はわかんないんすもんね」


く…


確かに……


「やったことは認めて謝らないと~」


やかましいわ!


家がぐっちゃぐちゃなんも俺のせいにされた…


「家ぐっちゃぐちゃなん悪霊のせいやんっ!」


「悪霊って言わないで」


「アニキッ!悪霊は不味いですって!」


「でも俺ちゃうもん!」


血塗れの女の正体も俺にされた…


「それもこのど悪霊やんっ!!」


「悪霊はやめてって!」


「アニキ!悪霊はあきませんてっ!」


「でも俺散々頑張って護ったのに悪霊扱いはひどない?悪霊はこいつやん!!」


ゴゴゴゴゴ


また家中が震えだす


「悪霊って呼ばないで!」


「アニキ謝って!すぐ謝って!!」


「ずるない!ゴゴゴで解決すんのずるない!!」


住職が清めの塩を撒きまくる


「いたーい!俺ちゃうやん!ゴゴゴしてんの俺ちゃうやん!」


「うわー!とけるー!アニキ助けてー!」


「とけんの!?塩でとけんの!?」


念仏を唱え出す住職B

塩を撒きまくる住職A


堪らずにゴゴゴをやめるイチゴ


「やだー、念仏ってウザーい」


「お前もウザいけどなっ」


「言ってる場合じゃないっすよアニキ!」


「くっそ、どーにかしようにも力抜けてなんもできひんな」


住職Cが部屋のがらくたを集め出した。


「僕ら、寺に持ってかれて焼かれるんすかね?」


しくしく泣き出すとかげ。


「泣くなや!焼かれる前に逃げたらエエがな!」


「一緒に逃げましょうね!アニキ!」


「やーん。あっちこっちお塩まみれになっちゃった。ウザーい」


「お前の方がウザいけどなっ!」


そして俺達は箱に詰められて車に乗せられた。

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