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キシネンリョ
少しずつ。
※ポジティヴな人はお帰り頂いた方が、お互いに幸せです
「あ、天気が良いや。死のう」
桜が咲き誇る、ある晴れた日の事、首を吊ってみたが失敗に終わった。
短いタオルを捻り、クローゼットの取っ手に通す。タオルで作った輪っかに首を通して、カラダから力を抜く。重力に逆らわない重さは、少しずつ生を止めていった。だが、途中で苦しくなって止めてしまった。
そもそも本気で死のうとはしていなかったのだから、当たり前と言えば当たり前である。
行動に移し完遂した人々は、一体どれだけの苦しみがあったのだろうかと思う。
あれから少しばかり時間が経った。何とか今も生きている。
直後は気持ちが少し軽くなった。だが、結局は同じ思考に帰っていた。人の思考は慣れ親しんだものに帰結し易いと言うが、確かにそうだと首を振れる。
ならばと考え、思考を変えようと日々奮闘している。
しかし、首に纏わり付いた紐は、より一層締まるばかりだ。