1話
とある少年が通っている平凡な高等学校、「勉座高等学校」。ここでは毎日多くの学生達が勉学に励んでいる。
本日は授業が終了し、放課後である。人によって時間の使い方は様々であるが一人の少年はというと…。
「ふぅ…今日も綺麗になったな!」
一人の少年がトイレ掃除を終えたようであった。
「いつもありがとうね。洗井君がいると本当に綺麗になって助かるよ!」
先程までトイレ掃除をしていた先生とトイレ掃除を終えた生徒が会話をしている。
「いや、いいんですよ。得意なことはどんどん活かさないとですよ!」
「でも君にばっかり悪いなぁ…」
「いえいえ、お気遣いなく。」
このように週に何日かはトイレ掃除が得意な高校1年生洗井洗が掃除当番でもないのに自主的にトイレ掃除を手伝っている。先生も大喜びであるが同時に「悪いかな」という気もちもあるようだ。
「本当にいつもありがとうな!じゃあ気をつけて帰れよ!」
「はい、さようなら!」
洗井は元気良く先生に挨拶をすると学校を後にする。
「今日もトイレ掃除大変だったなぁー。まぁ好きでやってるからいいんだけど。」
洗井は家に帰るといつもスマートフォンを操作してインターネットを見て回っている。これといった目的があるわけでもなくただ何となく掲示板を見て回ったり、動画を見たりしている。
洗井は今日もインターネットを見て回ろうとスマートフォンを手に取ると画面におかしな文字が表示されている。
”ヒーローになりませんか?貴方ならなれます! ▼はい ▼いいえ”
「何だ?これは。」
怪しすぎである。ぱっと見ただけではウイルスかと思う程である。洗井もかなり怪しんでいる様子であった。
「あれ?消えない…」
洗井は電源ボタンを押したり、はい、いいえに触れないように画面を触ったりしたが一向に画面は消えない。
「困ったな…」
「でもヒーローか…昔はなりたかったけどなヒーローに…でも現実考えると無理だって分かってから特に考えなくなったな…でもなれるならなりたいなぁ…」
洗井は深く考え込んでいる。洗井は昔、ヒーローに憧れていた。今も特撮は好きであるがそれとは別に純粋な「憧れ」があった。
「よし!一丁なってみるか!ヒーローに!」
洗井は「はい」というボタンをスマートフォンを持っていない手で勢い良く押した。
すると画面の文字が変わった。
”おめでとう!これで貴方はヒーローです!それではそちらに相棒を送ります!仲良くしてね!”
「相棒って何だ…」
次の瞬間画面が光る。とても眩しくて洗井も目を開けていられないようで腕で目を覆う。
「お前が俺のマスターか…」
洗井の前に人魂のような者が浮かび上がっていてそれが洗井に渋い声で語りかける。
「えっ何っえっ!?」
洗井は同様を隠せない。これが先程の相棒といったやつであろうか?
「おい、何ビビってんだ?ヒーロー何だろ?お前。」
初対面だというのにかなり感じが悪い。