魔法学校と最強
魔法学校。
それはまさしく、魔法を学ぶ学校である。
魔法が何なのかは、、、まぁだいたい想像つくだろうから、今更説明はしないでおく。
魔法学校は主に貴族、時たま平民や商人の子供が集まり、魔法の知識と技術を競い合い切磋琢磨する場である。
その学校の前に、二人の少年が居た。
「「あっれぇ?あかないな。」」
二人は口をそろえて言う。
「「今日は試験日のはずなんだけど。」」
「ねぇ?」
「あぁ。」
「おかしいね~。」
「おかしいな。」
そして、目の前の、びっちりと閉ざされた門を見て、二人同時にこてりと首を横に傾けた。
一人は、例の黒髪の少年だ。目が死んでいる。
一人は、顔が精悍かつ麗しい美少年だ。不思議な、頼れるオーラがある。カリスマともいう。
この二人ははたから見て、異様な組み合わせであった。
だが、二人は知り合いでもなんでもなく、この門の前で偶々会っただけの関係だ。
本当に誰の意図でもない偶然。
二人の共通部分は性別と、‘魔法学校の試験を受けに来たこと’だけである。
「日にち間違えた…わけはないよな。もう一人が居るって時点で。」
「そうだねー。俺も間違えている可能性は否定しないけどね!」
「そんな偶然あるわけが――――」
そこまで言った少年は、はっとした表情になった。
「もしかして…オマエ、俺のギルドのところの奴か?」
「うんー?君はどこギルドなのかな?」
ギルドは世界中にいくつかある。
本部は先ほど少年が居た場所だが、支部は地方に1、2個ずつある。
そして、その一つ一つに名前がついている。
「オレは本部だが?」
美少年は、何で?と言いたげにサラッと話す。
黒髪の少年はニヤリと笑った。
「えぇ!?本部!?…すごい強いんだねー。」
本部に登録できる人は、優れたものの中でも一部だけ。
そのため本部にはエリートの中のエリートが集まっている。
…いや、化け物の巣窟、という表現のほうが正しいかもしれない。
世界の一般常識として、本部に入っているということは、にんげんを超えた化け物という証明なのだ。
「………ねぇ、君、何者?」
じろり、と綺麗な少年の瞳を覗き込んだ。
澄んだ綺麗な瞳だ。
だが、目が泳いでいる。
うようよ、うようよ、と焦点がまったく合わさらない。
どうやら彼は自分の失言に気がついたようで、慌てて付け足した。
「い、いやいや、オレはただのお手伝い。知り合いが居て少しコネで入れさせて、もらったんだよ。た、ただの下働きしかしてないけどね!
ごめんね何か、期待させちゃって。そうゆうことだから。」
ダラダラダラダラ。
少年の額からあごに向かって、滝のように汗がしたたりおちる。
「あー、なんだそうゆう事か~。そうだよね、君の年齢で本部に入っているなんてありえないしね。そんなのいたらもう化け物以上の、何かだね。」
「…そうそう。」
慌てながら、「じゃあね!」と綺麗なほうの少年は、黒髪の少年に別れを告げた。
逃げたともいう。
「じゃあねー………」
少年は笑顔で言った。
「あれが、世界最強かー。」
魔法では、無尽蔵の魔力と、神の領域に達した魔術を使い。
剣術では、一つ、薙げば、大地も海も真っ二つに割れ。
武術では、氣を使い自然を味方につけて、森羅万象を操り。
知識は、賢者にすら勝り、何でも知っている。
そう言われる彼だが…。
少年が抱いた感想は一つだけ。
弱いな、と。




