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惡祇-アクガミ-  作者: ツンデレ気候
春ノ切レ味
7/7

春ノ切レ味 戊





 一





 前回の茶番にもめげずに、僕は無事進級テストを受けることができた。


 進級テストといっても進学するためのテストではなく、進級後もきちんと復習できているかというのをチェックするためのテストだ。


 そういえば前回の『春ノ切レ味 丁』で、誤って『進学テスト』と書いていました。それ入試じゃん!!馬鹿じゃん!!!


 まあこういった作者による茶番が繰り広げられるのも、よきにしもあらず。


 ちなみに僕はこう見えても予習・復習はちゃんとこなす生徒なのだ。目指す未来に向け、一途に走りきる人間なのだ。え?将来何になりたいかって?ドラゴンボールの『天津飯』のモノマネをして食べていきたいです。




 ともあれテストの方は手応えアリ(国語以外は)だったので心配は無用だ。余裕だ。大勝利だ。(今のうちにフラグを立てておかないと、もしものことがあったらみんなが笑ってくれないからな)



 テスト完。

 


 当然部活には行かない。相変わらずみんなの目が冷たいからだ。一応退部届けはまだ出していないのだが、そのうち顧問が勝手に追い出してくれるだろう。自分の手から辞めるのも気が引けるし。



 なんというか。今思い過ごせば、無様な高校一年生を過ごしたような気がする。



 たった一人いた友達でさえ、どこかへ行ってしまった。



 寂寥感。



 高校一年生という期間さえ無ければ、僕はここまで寂しい人間にはならなかったんだ。



 だ、と思う。



 あ、言っときますけど、『僕の高校一年の歴史』みたいな展開は絶対無いからね。













 二






 夕方。




 商店街に立ち寄ってみたが、オッサンの姿は無い。


 流石に一日だけじゃ情報不足なのか。


 それとも。また別の用でもあるというのか。

 


 まだ日が落ちるまで時間があるので、僕はゲームセンターへ立ち寄ることにした。


 そういえば、ゲームセンターといえば『クレーンゲーム』だよね~。


 実はクレーンゲームの発祥の地って、アメリカの『ピザハット本店』らしいよー。知ってた?



 とか言いつつ、ゲームセンター『クモの巣』に到着した。ネーミングセンスは二度見してしまう程の悲しさだが、至って普通のゲーセンである。


 商店街の敷地内にあるので、買い物をしたついでの親子連れ等がよく来る。僕の街は物凄く平和なので、ヤンキー等という害悪物質に悩まされることはない(たぶん)ので、『ルールを守って楽しくデュエル!』できてしまうのだ。間違えた。遊べてしまうのだ。




 ふと、思いついたように腕時計を見る。



 5時半。



 ピキーン。



 ここのゲームセンターは、学生は平日5時までというルールがあったので、僕はしょうがなく家に戻ることにした。なんなんだよ昨日から。僕何もやってないじゃん!!それに今回、僕一言も喋ってないじゃん!語り手としてしか機能してないじゃん!




 さすがにこれは萎える。一言も喋らず、ゲームセンターを後にする僕。パトラッシュ・・・僕はもう眠いんだ。



 しあわせわー あるいてこないー だーかーらあるいてゆくんだねー



 あれ?何かおかしい?



 そういえばエヴァンゲリオンの真希波もこの歌歌ってたな。


 ちなみに『真希波』という名前は日本軍の軍艦の名前なんだよー。知ってたー?



 はい、本日二回目の小ネタ紹介。これで何かコーナー作れないかな?ね?作者さん^^



 作者『語り手が『^^』を使ってんじゃねーよ。ちゃんとしないとお前のキャラ設定をベジータみたいなキャラにするぞ。きたねえ花火になりたくなかったら仕事しろ。それとな、お前に貸した三万円早く返せよ』




 怖。



 借りた覚えねーし^^


 


 「・・・ん?」




 と。



 僕の思考を遮るように。


 




 『それ』は突然に。




 僕の視界に飛び込んでくる。








 三







 僕の家の前の坂道。



 遠目から見れば、直角に見えてもおかしくない坂道だ。



 そこで。僕は見てしまったのだ。







 学生服を着た青年。







 僕の通っている学校の制服。



 その青年が、傾いた坂道にもたれ掛かるようにして倒れていた。



 

 口からは赤いドロドロとした液体が漏れ出している。



 目は裏返る程上を向き、口から溢れる『液体』は真っ黒な制服を赤く染め上げている。



 


 「え・・・ぁ・・・?」



 言葉に出来なかった。



 否。



 させてくれなかった。




 死体?



 人間の?



 どうしてこんなところで?



 どうしてこんなところで、誰にも気づかれずに倒れているんだ?




 「・・・ううぅっ」



 嗚咽感が、僕を襲った。


 体をくの字に折り曲げて膝まづき、手元を口で押さえる。



 僕は、人間として、口から出ようとする吐瀉物を必死に抑える。


 

 人の、死体。



 

 「くぅ・・・くそぉ・・・」



 麻痺した体を無理やり動かし、その『生きていた人間』に近づく。



 やはり死んでいる。僕は医者でも何でもないが、これだけはすぐに分かった。



 直感とか、見た目とか、そんな甘ったるいものを全て無視して、僕はそう悟った。



 ふと例のニュースの内容が脳裏をよぎるが、



 (じ・・・次元が違う・・・。人が・・・人が死んでるんだぞ・・・?病院送りとか、感染症とかそういうレベルじゃない・・・。これは・・・)






 殺された。





 誰かに。この街にいる誰かに。




 殺された。








 惡祇の悪戯。




 残忍な惡祇による遊戯。





 そうとしか、僕は思えなかった。



 


 






 

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