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家を買う

ミケのミスもあったが、かろうじてアンシン町にたどり着くことができた一行。

今回は家を探すのだが、とんでもない金額でしょげていたが、とあるつながりで訳アリ物件を紹介されることに。一行は念願の家を手に入れることができるのだろうか?


俺は久しぶりに1人の時間を過ごしている。正直言ってぼろいがこのぼろさがちょうどいい。ミケやエルザがいない夜はすごく静かで良い。あの2人がいるとケンカはするわ寝相が悪いわでいろんなことがあった。この晩はぐっすり眠れた。久しぶりに夢を見た。居心地の良い夜だった。


 俺は太陽の光で目覚めた。体が軽かった。何でもできそうな気分だった。

8日目のログインボーナスでEXP20をもらった。相変わらずしょぼいと思った。しかし今日は一味違った。なんか連続ログインボーナス7日記念で1日限定の防御力と速度ステータス上昇を受けた。これがこの元気の原因だろうか?それならなんかテンションも下がる。


そうこうしているとドアの奥から聞き覚えのある2人の声が聞こえる。おそらく、ミケとエルザだろう、

ドアに耳を立てると、何かをしゃべっている。


「良いですか?エルザ、家にもいろいろありますが、その家にはあっても、この家にはないものもあります。だから要望を聞いてもらえるように交渉するんです」


なんか、ミケは家に欲しいものがみたいだ。ミケぐらいのかわいい子が言ってなかったら、即断っていたろうな


「いけません!ミケ!欲を出しては」


「なんでよ!いいじゃない!ゼルさんのことだって助けてあげた時だってあるし!それを言えば、ゼルさんも納得してくれるでしょ!」


なんか不穏な空気が流れ始めた。こんな感じでいつも喧嘩が始まるのである。


「ミケ!ダメです!女性であるならば欲は慎むべきです!」


「なんでよ!女の子は欲しいものは欲しいってねだるものでしょう!」


多分エルザはそうやってお姉ちゃんたちの影響で欲しいものどかもらえなかったんだろうな


2人はいがみ合い始めたので他の人の迷惑になると思って、ゆっくりドアを開けた。

2人はこっちを見て3秒ぐらい固まった。


「何してんのお前ら、全部聞こえてるよ」

「別に希望を聞くぐらいならしてあげるぞ、エルザ、俺たちは仲間なんだからな少しは甘えてもいいんだぞ」


「そうですよ!私たちは仲間なんですから」


ちょっと照れくさそうしているエルザを見て安心した。


「まず、迷惑になるから俺の部屋に入りな」


2人を俺の部屋にまず入れた。


「んで、家に欲しいものってなんかあるのか?」


「じゃあ、わ、私からでいいですか?」


「良いよ、何でも言ってみろ」


「じゃあ、私は私専用のキッチンと部屋、そして大きな庭が欲しい」


「キッチン?料理が好きなのか?」


「いや、あんまやったことがないですけどお母さんがよく作ってくれたお菓子がおいしかったから私もお母さんみたいになりたいと思いまいして、家でも何度か頑張ったんですけど上手くいかなくて」


「そっか、分かった頑張って探してみる」


「ほんとですか!」


「ああ、仲間の頼みだしな」

「それで、ミケは何が欲しい?」


「私はもう決まっている」


「なんだ?もったいぶらずすぐに言えよ」


「私は、大浴場と大きな書庫、そしてお姫様みたいな広い部屋が欲しいのです!」


「え?」 「え?」

見事にハモる俺とエルザそして流れる微妙な空気。そしてなぜか誇らしげなミケ


「ミケ、書庫はお前が魔術師だからわかるけど、部屋はともかく大浴場はいらないんじゃないのか?」


「ノン、ノン、ノン」


なんかすごいウザイ指の動きだった。でも誇らしげで可愛い、だがなんかどうでもいいことを言われそうだ。


「魔術師にとって、休息は大事なのです。例えば疲弊していたら最大限の魔法はできませんし、老朽化も早いです。だからリラックスできる自分好みの部屋と大浴場が欲しいのです!」


「はいはい、大浴場は分からないができるだけ探すよ」


「ありがとうございます。ゼルさん!」

「それじゃあ、物件をあさりに行きましょう!」


(何だその空き巣犯みたいなセリフ)


「まぁ、そうだな。でも、ご飯を食べてからな」


「そうですね、ゼル」


俺たち3人は町に繰り出し、朝の市場にあるレストランでご飯を食べた。なんとこの店初来店の人には銀貨2枚分無料だそうだ。だから全員で銀貨2枚分でモーニングランチを食べた。


そんな朝食を終え、俺たちはギルドで不動産みたいな家を売ってくれる店を紹介してもらって、その店に向かった。店に入ると、家具や地図、物件の値段が書いてる紙がずらりと並んでいた。まるであっちの世界の不動屋さんだな。


「あのー、店の人いますか?」


「ああー今行きます」


奥から中年ぐらいのおっさんが来た。


「いらっしゃいませ、私の名前はネルソン。すみません、今忙しくて待たせてしまって」


「1人で仕事しているのですか?」


「いえ、今他の人たちは家の売買の交渉であったり、家の整備などで忙しいんです。」


「そうなんですね、ネルソンさんも忙しそうなので後で出直した方がいいですかね?」


「いえ、私が対応いたします。」


「でも、仕事が」


「私の仕事は家を売ること。そして幸せな家庭の懸け橋を作るものです」


「そうですか、お言葉に甘えて、よろしくお願いします」


俺たちは奥の接客室に連れていかれた。ネルソンさんも含めた俺たちが腰を下ろしたら、さっそく話が始まった。


「では、さっそく始めましょう。と言いたいところですが、お名前を確認させていただきます。改めて担当させていただきます、ネルソンです。よろしくお願いします」


「よろしくお願いします、俺はゼル、でこっちの魔術師がミケでこっちのハーフエルフがエルザだよ」


「ゼル様、ミケ様、エルザ様ですか。よろしくお願いします」

「名前を確認したところで話を進めさせてもらいます、今回は何用で来店されたのですか?」


「今までは宿に泊まっていたのだが、家が欲しいということになりまして」


「そうですか、確かに自分の家があると、買うときは値が張りますが、持っていると宿代は抑えれますからね」

「しかし、冒険者ならいろんなところにに行くので宿の方がいいのでは?」


「確かにそれも思ったが、この2人のためだ。それに俺たちは冒険者と言えどものんびり暮らしたいからな」


「そうでありましたか、失礼しました」

「家のご要望がありましたら、どうぞ何なりとお申し付けください」


「ちょっと、あるんだけどいいかな?」


「何ですか?」


「この店の家の管理範囲ってどのくらいだ?」


「そうですね、王都に本部があるのですが、おそらくこの村を起点として半径50kmぐらいかと思います」


「結構あるんだな」


「しかし、我々だけで管理できるのは30kmまでです。残りの20kmは王都の許可が下りなければなりません」


「なんでだ?」


「こっちは田舎の方で周囲の整備や開拓が不完全なのです。だから売るにしてもいくら立派な家でも争いの痕跡などが残っているのであまりこちらの評判のためにも売ることは少ないです。時々、変わった人が興味本位で購入していきますが、環境の気味悪さにすぐに引越しをしてしまうのです。」


「なるほどそんなことが」


「すみません、脱線しすぎました」


「別にかまいませんよ」

「じゃあ、家の要望良いですかね・」


「どうぞお気軽に」


「えっと僕からは特に要望はありませんが、2人からの要望で大浴場と広い1人部屋、そして、大きなキッチンと広い庭のある家を要望します」


「分かりました、値段の希望はありますか?」


「見てみないと判断できないので、要望に当てはまる物件できるだけ見せてもらうことは可能ですか?」


「もちろんです、しばらく待っていてください」


と言って、ネルソンさんは部屋を出ていった。

そこから数十分後、両手に一杯資料や物件情報が載っている書物を持ってきた。


「すみません、意外と多くて手間取りました」


資料を全て置き、その中からいくつか物件を出してくれた。


「まず、全部の条件が備わった物件を3件です」


全ての概要を見ていくと確かに写真はきれいだし、設備系統もちゃんとしている。まず写真の技術があることに驚きだった。しかしそんなことよりも値段だ。値段が問題だった。


「金貨2000枚?2700枚?4000枚?」


背筋が凍るような数字だった。なんせあっちの世界で換算すれば2000万だぞ。買えるわけがない。

一方、エルザは我慢しているようだったが、ミケは目を輝かせていた。


「新築だとどれくらいですか?」


「お客様の要望だとおそらくその金額の倍、いや、3倍はかかるでしょう」


「マジか...」

「ネルソンさん、なんかもっと安く買えるのはないですか?」


「そうですね、確かに今見せたのは数年前まで貴族が別荘として使っていたものですからね」


(そりゃ、たけぇーわ)


「予算の方だとどのくらいですかね?」


「金貨100枚程度の物件がいいな」


「そうでしたか、てっきり要望がすごいもので貴族の御一行かと思いました。それにハーフエルフ族の王族であり後継者争いをしているエルザ様がいたので」


「は?」

俺たちは顔面蒼白になる。


「なんで、あんたが知ってるんだぁ!」


2人は本能的に構える。


「ひぇぇぇーー!」


「やめろ、お前たち、いったん落ち着け」


「なぜだ、こいつはお姉さまたちの刺客かもしれないんですよ!」


「本当にそうだったら、俺たちぐらい簡単に倒せるだろっ!いったん話を聞こう」


「そこまで言うなら」


2人落ち着かせた俺は聞いた。


「何でエルザを知っている?」


「それは先日、部下らしき人が来て写真を見せて来たからです。しかし私は告げ口はしません。わたしの仕事は人に家を売り、幸せを願う仕事です」


真剣なネルソンさんの目を見て俺は”この人はウソをついていない”と思った。


「それなら安心だ、じゃあ事情も聞いてくれるな」


「もちろんです」


そして俺はネルソンにエルザの今日までのことをすべて話した。お姉様と父親に家庭内での差別をされていて後継者争いに参加できないこと、今俺たちが見つからないようにかくまっていることすべてを


「そんなことが、私でよければ協力します」


「だから家を探している、できるだけ安くて2人の要望に応えれる家を」


「そうですね、新築でも先ほどの値段ですし、安くても1000枚以上です。()()()()なら」


「普通の家なら?」


「はい、私の中で話を聞いてて要望も金額、そして隠れ家としても使える。ゼルさんたちが望む物件としては申し分ないところが1件だけあります」


「金額と場所を教えてくれ」


「金額的には金貨100枚、場所としてはここから西に20kmほど進めばあるのですが...」


「設備的にはどうなんだ?」


「広い1人部屋もキッチンも庭も大浴場もあります」


「なにそこ!いいじゃないですか!買いましょう!ゼルさん!」


「静かにしてろ、ミケ。そんな立派な家がなぜそんなに安いんだ?」


「それは訳アリだそうで」


「訳アリって何がだ?」


「私たちは噂で聞いたのですが、ここを元々治めていた貴族が病で死に、当時まだ若く経験も浅かった跡取りが後継したのですが、その後継者がなくなられたのです。その怨念が幽霊として出るという噂。それを実際担当していたものが見たらしく、噂は広がり、誰も買わないということでこの金額になりました」


「なるほどな、貴族住んでたってことは大分デカいだろ」

(別に俺は幽霊度課は信じないし、むしろ会ってみたいと思う派の人間だからな)


「そうですね、さっき見せた家と大体同じぐらいですかね」


「お前らはその家どう思う?」


「私は別にいいですよ!幽霊どか見てみたいし!」


ミケはこういうのは何も考えてないから即決で楽でいい。しかもかわいい。


「エルザはどうだ?」


エルザを見てみると顔はクールのままだが足が震えまくっている。生まれたての小鹿だろほぼ。たぶん幽霊どか信じてるのだろ


「エルザがダメなら、変えてもいいぞ」


「わ、わ、私は幽霊なんて怖くありません!ちょ、ちょっと迷っているだけです。」


「いやまだ聞いてないよ」

「怖いなら怖いでいいし、着いて怖かったら俺たちがついてるし、絶対1人にはしないよ」


「ほ、ほんとうですか?じゃあ、そこでいいですよ」

「でも、1つ条件です。着いたらゼルさんが私の手をずっと握ってください」


「わかった。じゃあ決まりだ」

「金額は払う。だから場所だけ教えてくれないか?ネルソンさん」


「分かりました。交渉成立ということでいいでしょうか?」


「ああ」


俺たちは金貨100枚をネルソンさんに渡し、地図と建物の構造と貴族ならでは仕掛けもあるらしい。あと3か月に一回しか掃除しないから汚いかもしれないとも言ってた。


そんなことよりも家が見つかってよかった。そして、俺たちは訳アリ物件に向かうのであった。




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