表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
役立たずの【種子生成】スキルで追放されたので、辺境でもふもふドラゴンと自由に生きることにした  作者: はぶさん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

29/46

第十一話 塩の採掘場と、賢い魔物 第1部『ドワーフの水路と、眠る怪物』


村人たちからの温かい見送りを受け、僕とコハク、ハグレは、塩の採掘場があるという険しい峠へと足を踏み入れた。ユイちゃんを助けたお礼にと、村人たちが持たせてくれた、素朴だが心のこもった焼きパンを頬張りながら、僕たちは岩だらけの道を一歩一歩、着実に登っていく。

広大な平原とは打って変わり、ごつごつとした岩肌が剥き出しになった、荒涼とした景色が広がっていた。吹き抜ける風も、平原のそれよりずっと冷たく、鋭い。


「長老の地図によれば、確かこの辺りのはずなんだけど……」

僕は、羊皮紙に描かれた地図と、目の前の景色を何度も見比べる。そこには、「三つ子の岩を過ぎ、沢が岩に吸われる場所」と記されていた。

沢に沿ってさらに進むと、確かに、三つのよく似た形の巨岩がそびえ立っていた。そして、その先で、今まで僕たちの隣を流れていた小川が、ごぼごぼと音を立てて、巨大な岩壁の裂け目へと吸い込まれて消えている。


「あった!ここだ!」

僕たちは、その岩壁を覆う、分厚い苔と蔦を慎重に取り払った。すると、その奥から現れたのは、ドワーフ族特有の、直線と曲線を組み合わせた美しいデザインの、小さな石造りのアーチだった。遥か昔に忘れられた、秘密の入り口だ。

中からは、ごうごうと、絶えず水の流れる音が響き、ひんやりとした湿った空気が流れ出してきていた。


僕たちは、松明に火を灯すと、意を決して、その暗闇の中へと足を踏み入れた。

中は、大人が屈めばなんとか通れるほどの、狭い水路が続いていた。壁は常に濡れており、足元の水が、絶えず僕たちの足首を叩いていく。響き渡る水音が、方向感覚を曖昧にさせた。


しばらく進んだ、その時だった。

ズシン……。

腹の底に響くような、重い振動が、僕たちの体を揺さぶった。

コハクとハグレが、ぴたりと足を止め、僕の足に体をきつくすり寄せてくる。その小さな体も、恐怖に細かく震えていた。

ズシン……!ズゥゥゥン……。

今度は、もっとはっきりと聞こえた。それは、巨大な生き物の、地響きのような寝息。長老が言っていた魔物「ロックリザード」が、この分厚い岩盤の、すぐ上で眠っているのだ。


僕が息を呑んだ、その瞬間。

ゴゴゴゴゴ……と、頭上の天井が、寝息に合わせてビリビリと細かく震え、溜まっていた砂や小石が、ぱらぱらと僕たちの頭上に降り注いできた。

僕は、震える二匹の背中を、そっと撫でて落ち着かせた。あまりの恐怖とプレッシャーに、心臓が早鐘を打つ。だが、この水音こそが、僕たちの命綱だ。僕たちは、お互いの存在を確かめるように体を寄せ合い、息を殺し、一歩、また一歩と、暗闇の奥へと進んでいった。


永遠にも思えるほどの緊張の潛行を乗り越え、僕たちの目の前に、ようやく出口の光が見えてきた。

水路を抜けた先。そこに広がっていたのは、広大な、静寂に包まれた巨大な洞窟だった。

僕が掲げた松明の光が、壁に当たって、キラ、キラ、と乱反射する。それは、まるで洞窟の内部に、満点の星空が広がっているかのような、幻想的な光景だった。

壁一面が、まるで宝石のように、美しい岩塩の結晶で覆い尽くされている。

白く、あるいは淡い桃色に輝く、白い宝の山。


(やった……!ガラク、ズボラ、みんな……!これでまた、美味しいものが食べられるよ……!)


僕たちは、ついに目的地、塩の採掘場へとたどり着いたのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ