第八の魔法「学科最高責任者エテレイン」
少しだけ、時は遡る。夜、合同実技訓練が終わり、フィリップとエテレインは資料室にいた。明かりもつけずに月だけが二人を照らしていた。
「くそ、モンストロの奴。あんな女に負けるなんて」
「まぁいい。あの男には期待などしていない」
「お言葉ですが、エテレイン先生。モンストロはクラスでも随一の剣の使い手です。多少癖はありましたが、その言葉は酷すぎます」
「お前にも言えることだ。当面、あの女の始末はお前に任せてある。次に失敗してみろ。覚悟は出来ているな」
エテレインは静かに、フィリップを圧迫する。
「わかりました」
納得いかない。しかし、反感を唱えることが出来ない。エテレインは三年最高責任者。いわば、全学年・全学科における最高責任者でもある。校長や教頭よりも実質的に権力を握っている。
ただ、理解できない点は一つだけある。確かにクロと言う女子生徒は素行も悪ければ成績も最悪。だが、たったそれだけの理由で学園を追放するほどだろうか。クロとは違うが、素行の悪い生徒もいれば成績も悪い生徒も他にはいる。なぜ、クロだけなのか。それだけがフィリップには理解できなかった。
フィリップが帰った後もエテレインは資料室に残っていた。ある書物をただ、じっと見ていた。
『始祖の種族と魔物』
かつて、種族と魔物は共存の道を歩んでいた。世界の秩序を守るため。だが、始祖と呼ばれた四体の魔物は人種の危険性を感じ、同様に始祖と呼ばれた四つの種族を滅ぼす。しかし、同時に始祖も命を落とすことになった。そこから種族と魔物の争いは始まった。種族を殺された人種。始祖を殺された魔物。これ以降、二つの立場が交わることは無かった。
資料を読み終えると、エテレインは窓から月を眺めた。なぜ、始祖の魔物は始祖の種族を殺したのか。その理由は、この資料室に存在している書物の中には記されていなかった。
クロを学園から追放しようとするエテレイン。それに不快感を抱きつつもフィリップは次の作戦に移行する。新たに学園のスタートを切ったクロに新たに厄介なことが降りかかる。
副題をやっと決めれたので、ちょっと変えてみようと思います。