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第七の魔法「小さな喜びと小さな不安と」

実演が終わった後、いつも通りに投稿した私にちょっと意外なことが待ち構えていた。それは小さな、だけど嬉しさは大きかった。

 翌日、クラスに行くとちょっと意外なことが起きた。ほんの些細なこと。


「おはよう、クロ」


「おはよう」


 クラスの皆が私にあいさつをしてくれた。いつもなら無視されていたのに。戸惑っていた私にトラゴスが声をかけてくれる。


「サフィラに感謝しろよ。皆を説得したのアイツだからさ」


 意外だった。サフィラが私のことを心配してくれていたのだろうか?

 ここに入学して、一人ぼっちだった私は最初の授業で種族の皆のことをバカにされた。それで、その教師を殴って停学になった。ローザとはルームメイトだから友達になれた。それからサフィラとトラゴスとも仲良くなった。だけど、クラスの他の人は私のことを恐い人だって思ってしまった。他の生徒とも喧嘩することが多く、余計誤解を招いていた。本当は私だって皆と仲良くしたかった。


「アイツ、一生懸命説得していたぜ。お前のことよっぽど心配だったんだな」


 遅刻時間ギリギリにサフィラが教室に入ってきた。サフィラが皆の誤解を解いたお陰で、こうして皆に話しかけられた。素直な気持ちをサフィラに送った。


「ありがと。サフィラ」


「な、何よ急に。朝はおはようでしょ。いきなり感謝しないでよ」


 どうやら照れているようだ。顔が真っ赤になっている。サフィラ自身、感謝される理由は分かっているはずだから。


「照れんなよ。クロが感謝してるんだぜ」


「トラゴス。アンタ覚えておきなさいよ」


「何のことだ?俺は別にお前がクロのためにがんばったことなんて喋ってないけど」


 いつものサフィラとトラゴスのやり取り。だけど、今日はなんだか不思議な感じがした。新鮮な感じ。今から学園生活がスタートするような、そんな感じ。





 自分の手に意識を集中させる。すると、手が黒く染まった。手首近くまで染まりきった手は禍々しく別の生き物にさえ思えた。実演から一週間。魔法の訓練では相変わらず失敗続きだが、なぜか手を黒く染めることは出来た。

 事の発端はリエータ先生の授業で魔法を使うときのコツを教わったときだった。意識を集中させ、念じることが一番大事だと聞き、魔法なんて何も覚えていないけど手に意識を集中させた。すると、手が真っ黒に染まった。その時は突然のことで驚いたからすぐに手は元通りに戻った。

 この黒い手のことで解っていること。それは、この手で物に触れると粉々に砕け散る。そこに何もなかったかのように跡形も無く消え去る。試しに部屋にあったコップや外に落ちているゴミなんかで試してみた。この手は物の大小に関係なく壊すことが出来るようだ。だけど、壊した物が大きければ大きいほど、その後に襲ってくる疲労感も比例して酷くなる。一度、樹を壊してみたら立っていられないほどの疲労感だった。

 なんで私にこんな能力があるのか解らない。だけど、この黒い手がある限り魔法を使うことが出来ない。直感だけど、そう思えた。



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