第六の魔法「闘いが終って」
気が付いたとき、闘いは終っていた。どうやら自分が勝って実演が終了したようだ。両クラスが整列し、エテレインの最後のあいさつが終ろうとしていた。
「生徒諸君。ご苦労だった。これで合同実技訓練を終了する。では解散」
あっという間の出来事のように思えた。何だか体が重いし酷く疲れている。
「やったじゃん。アンタが勝つなんて!」
サフィラたちが駆け寄ってくる。けど、話す余裕が無かった。
「ワリィ。ちょっと疲れたから先に帰るわ」
引きずるような足取りで、部屋へと向かう。
「どうしたのかしら?あんなに疲れているなんて」
「緊張してたんだろ?ゆっくりさせようぜ」
「そうね・・・」
ローザもサフィラ同様、心配していた。しかし、後を追う勇気がなぜか出なかった。
「腹減ったな。メシ食べていくか」
「いいわね」
「ローザも行くか?」
「あ、うん」
部屋に着いてからはベッドに一直線。身を任すようにベッドに倒れこむ。大きく息を吸い、ゆっくりと吐く。あの闘い、どうやって勝ったのかさえ覚えていない。ただ、一つだけ覚えていた。
自分の手が黒く染まったこと。
手をじっと見てみる。もう、黒くはなかった。あの黒色はある魔物を思い出す。私たちの村を襲い、皆を殺した。黒く染まった鳥の様な魔物。
私は考えるのを止め、深い眠りについた。
闘いに勝利したクロ。しかし、魔法ではない力、手が黒く染まった故に得た勝利だった。なぜクロの手が黒く染まるのか。魔法が使えない事と何か関係があるのだろうか。