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第四十五の魔法「水のバシリス」

 先に動いたのはドッジーナだった。ドッジーナの武器は槍。バシリス目掛けて一直線に槍が走る。

 大きく横にかわし、すかさず呪文を唱える。バシリスの周りに水が現れ、水弾が発射される。


「しゃらくせぇ!」


 ドッジーナは槍を大きく振り回し、水弾全てを防御する。攻撃に出ようとするドッジーナだが、バシリスは再び呪文を唱え始めた。

 何かを感知したのかドッジーナは手を止め、後ろに大きく跳び、後退した。その瞬間、ドッジーナのいた場所から噴水のように水が天に噴射された。


「すこしは手応えがありそうだな」


 ドッジーナのいた場所、水が噴射した場所には魔方陣が描かれていた。先程の呪文による魔法である。

 バシリスは水の魔法を操る。四つの魔法のなかでもっとも美しく、流れるような連携を得意とする水の魔法。最初の水弾による水を使い次の魔法に繋げる。卓越した集中力と魔法の連携を考えるセンスがあってこそ水の魔法は真価を発揮する。


「そろそろこっちの番かな」


 ドッジーナは再び槍を構え、矛先をバシリスに向ける。しかし、バシリスは手を天に向け、再度呪文を唱え始める。


「そう何度もやらせるかよ!」


 いち早く走ったドッジーナだったが、すでにバシリスの詠唱は終わっていた。


「フレッド・テンポラーレ!」


 天に溜まっていた水が一気に放出され、数多の剣を作り出す。それは全て、ドッジーナに向けられていた。


「なにっ!」


 ドッジーナは攻撃の姿勢に出ていたため、避けることは叶わず全ての剣をその身で受ける事となった。


「すご…」


 クロは感服していた。温厚な印象のバシリスの流れるような魔法の連携。

 無から有を。有から無を作り出す変幻自在の水の魔法。その美しさに会場だけでなくケーニッヒたち騎士学科の生徒も見とれていた。

 肩で息をしているバシリスは手を止めて呼吸を整える。初級・中級・中級と連続で魔法を駆使したため、疲労が出ていた。ただ、最初の二つは命中せずとも中級の魔法を当てたことにより多少なりとも自分に優位になるはずと思っていた。

 しかし、その考えはあっけなく崩れ去った。水の剣を全て受け止めたドッジーナは立っていた。未だ槍を放さずに。


「今のは効いたぜ、お嬢ちゃん。だけど、それじゃあオレは倒せないぜ」


「うそ……」


 不適にも笑うドッジーナを見て、落胆の表情を見せるバシリス。


「さて、反撃開始と行きますか!」


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