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第三十七の魔法「加速する騎士の女王」

 騎士学科の授業で使われている訓練場。モンストロは着々と防具をつけ、闘いの準備をする。しかし、メルキュールは一向に防具をつける素振りを見せない。


「メルキュール、早く付けろ」


「先生さ、あんな奴に防具つける意味なんてあるの?」


「なんだと?」


「あら、聞こえた?言った通りよ、アンタなんかに傷一つ付けられずに勝てるわよ」


「面白い。なら俺も防具はつけないで闘ってやるよ」


 メルキュールの挑発に乗り、防具を外すモンストロ。


「いいな、戦闘不能になるか、気絶及び失神した方の負けとする。武器も個々の判断で使用を任せる。依存はないな?」


 両者は頷く。モンストロは両手で持つ大きな剣を使用し、メルキュールは細身の剣を使う。

 騎士学科で武器に規制はない。生徒自身が自分で使いたいと思う武器を入学時に選ぶことになっている。すでに使用が許可されている武器もあれば、生徒自身のアイディアによる独自の武器も認められている。生徒の戦闘スタイルに合わせて武器を選べることが騎士学科の特色とも言える。


「アンタさ、力さえあれば強いって思ってるでしょ?」


「そうだが?それがどうした?」


「アンタみたいに考えて女をバカにする奴も私は大嫌いなんでね。本気でいくから」


「はじめっ!」


 ルーウェルが言い切った瞬間、メルキュールは超スピードでモンストロの懐に入り込む。一瞬の虚を突かれたモンストロは剣も構えていなかった。モンストロの体に突きを数発打ち込み、横をすり抜ける。


「くっ!こんなもので!」


 モンストロは振り返り、反撃に出ようとするが、その場で膝を付いてしまう。突きを数発くらい体に激痛が襲っている。しかし、血は出ていない。突きを食らった場所が紫色に変色しているだけだった。

騎士学科では常に、自分の武器を使って授業を行っている。普通に使えば、人を殺めてしまう凶器であるが、騎士学科で使用及び許可が下りた武器に全て魔法によるプロテクトが施されている。

 そのため、人に対して使用しても実際に切れることはなく、モンストロのように攻撃があたった場所は変色してしまい痛みが走るようになっている。


「どうしたの?自慢の力は」


「ちっ」


 モンストロは強引に立ち上がる。未だ足は震えている。剣だけはしっかりと握っている。


「腕っ節だけなの?情けない」


「うるさい!」


 メルキュールに向かって一直線に走っていくモンストロ。剣を振り下ろすもメルキュールには当たらない。挑発するかのように、余裕を見せるように笑顔を作っている。

 次第に剣を振るモンストロも息遣いが荒くなり攻撃を仕掛ける回数も少なくなっている。


「もう終わり?」


「黙れ、黙れぇぇっ!」


 再び切りかかろうとするモンストロを嘲笑うかのように接近するメルキュール。先程突きを打った場所にもう一度、寸分の狂いもなく攻撃する。攻撃を止めることなく、背後に回り更に突きを繰り出す。

 モンストロが振り返ろうとすれば、すぐに背後に回り突きを当てる。それを何度も何度も繰り返した。しかし、モンストロの体に傷口が増えることはなかった。モンストロの前面も背面も何でも行き来して攻撃しているメルキュールだが、すべて同じ場所に攻撃を当てている。


『ルーン』


 メルキュールが武器の申請の際に付けた名前。

 メルキュールの最大の長所は類稀なるスピードにある。細身で高い身長。長い手足。その体の特性を最大限に生かせる突きに特化した武器。

 もはや剣を構えることが出来ないほど体力を消耗し、負傷しているモンストロ。


「そろそろ終わりにするよ」


 メルキュールは剣を構え、再びモンストロの周りを超スピードで走り、モンストロを翻弄する。

 右を向いても、左を向いてもメルキュールを捉えることが出来ないモンストロ。目の前に現れたと思った瞬間、金属音が辺りに響き渡る。何回も金属音は鳴り響いた。

 メルキュールはモンストロの体を狙っているのではなく剣を狙っていた。何度も何度も執拗に剣を狙うメルキュール。防戦一方のモンストロ。

突然、メルキュールは距離を取った。


「どうした?もう疲れたのか!」


「アンタこそ、いい加減諦めたら?勝てるわけないじゃん」


 その言葉で完全に頭に血が上ったモンストロは最後の力を振り絞り、剣を構えメルキュールに向かって走る。

 まるでこの時を待っていたかのようにメルキュールは再度、モンストロの横に超スピードで迫る。


「アンタの剣もろとも、下らない自信を砕いてあげる」


 モンストロの剣目掛けて最大速の突きを繰り出す。

 度重なる剣を狙った攻撃により、モンストロの剣は真っ二つに折れた。

 騎士学科の授業で最も気を付けなければならないのは武器の管理である。普段から授業で自信の武器を使い授業を受ける。日々の授業のなかで消耗品である武器の管理・手入れは必然的にしなければならない。

 騎士同士の闘いでは注意が必要である。武器同士による攻防や鍔迫り合いなどは直接武器を傷めることになる。

 しかし、モンストロも騎士学科の生徒。この闘いの前にはしっかりと武器の手入れはしていた。だが、メルキュールの異常なまでに剣を狙った攻撃。

 先程の攻撃のなかで起こった金属音の正体はメルキュールの剣を狙った攻撃。これも一点だけを集中的に狙っていた。

 たった一回の闘いで相手の剣を壊す破壊力。一点を狙うことの出来る剣さばき。それらを確実にするための超スピードを使える身のこなし。それら全てがメルキュールの最大の能力と言える。


この文を読んでいると今でもちょっとおかしいな?と思うところが。


魔法によるプロテクトなんですが、現存する魔法は地・水・火・風


となっています。


それはあくまでも戦闘用に使用できる魔法が四種類だけとあって


こういった、防衛的な魔法も存在しているということで


お願いします。


何か後付みたいで嫌な気持ちですが……。


そして、前の話でついに10,000アクセスを突破しました!!


自分としてもこの作品でこんなに読んでくれる人がいるのに


ビックリです。


お気に入りに登録している人も、何度も言うようですが


本当にありがとうございます^^


これからも楽しんで読んでください。

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