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第三十二の魔法「うずまく感情たち」

 夜の特訓をしていて、黒い力の扱いにも慣れてきた。足に力を発動させ、一気にトップスピードまで速度を上げる。50mのタイムは3秒。確実に強くなっている自分に身震いさえ覚えた。

 けど、少しだけ残念だった。いつもいるはずのケーニッヒが今日は来ていない。せっかく、髪型も変えたのに。

 ベンチに腰を下ろし、ため息一つ。


「なに考えてんだ、私は…」


 いつの間にか、ケーニッヒがここに来るのが私にとって当たり前になっていた。


「クロ、遅れてごめん」


 息を切らして、ケーニッヒがやってきた。その姿を見て、走ってここまで来てくれたことに嬉しさを覚えた。


「別に、アンタを待っている訳ないだろ」


 嘘だった。素直な気持ちを言えない自分を必死に隠して出た言葉。


「髪型、変えたんだね。やっぱり似合ってるよ」


「そう、ありがとう…」


 じっと見つめてくるケーニッヒ。一回も顔は見れなかった。なんか恥ずかしくて。


「今日はもう終わったの?」


「あぁ、そうだ」


「残念だな、じゃあもう帰ろうかな」


「あのさ、ケーニッヒ…」


「ん、何?」


「最近さ、授業のほうはどうなの?」


 なぜか帰ろうと言ったケーニッヒを止めたかった。今日はまだ、ちょっとしか会えていないから。

 ケーニッヒは質問に答えてくれた。普通に話しているはずなのに、なぜだか私の胸は熱かった。





 クロが特訓を始めて少し経った頃。真相を確かめるため、サフィラたち四人は建物の影から様子を伺っていた。

 クロの特訓を見ていて、全員言葉が無かった。一年のときまで魔法を何一つ覚えることも出来なかったクロが、今では自分の魔法を見つけて確実に成長している。


「なんか、嫌なもの見ちゃった気分ね」


 マルグリットの言葉に誰も反応しない。三人とも同じ意見だから。


「私、自分が恥ずかしいかな」


 サフィラは思った。いつの間にか、心のどこかで、クロのことを馬鹿にしていた。友達なのに、いつも一緒にいるはずなのに、なぜだか今日、この時だけはクロのことを尊敬していた。嫉妬していた自分を恥ずかしがるのと同時に。


「今日は、帰ろうか」


「そうだね…」


「!ちょっと待って、あれ…」


 帰ろうとしたその時、マルグリットがクロに近づく一人の男に気付いた。予想通り、四人は再び隠れてクロの様子を伺った。



~あとがき~


 好きなことを書いていこうと思っても絶対に物語との関係を考えてしまうカルマです。

 もっと甘酸っぱい、できれば中高生がしているような恋の話をしてみたかったのに、無理だった…。

 もう少しで、書き溜めているのが少なくなりそうなので、急ピッチで書いています^^自分としてはそろそろクロの過去の話でも書いていこうと思っています!楽しみにしてくれたら嬉しいです


では

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