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第二十八の魔法「新学期」

 この日もユートピア学園はいつものように授業が行われていた。魔法学科も騎士学科も日々、シュルヴィーヴィルに入隊するために授業に真剣に取り組んでいた。

 二年生へと進級を果たしたクロもまた、皆と同じように授業に出ていた。二年生になると魔法学科の生徒は自身の魔法を見つけ出し、独自の魔法や闘い方を探している。しかし、クロだけは違う。

この日の授業は実技。日々の訓練の成果を出し切るため、一対一での魔法による対決が行われていた。


「じゃあ、最後の一組だな。二人とも、前へ」


 前に出る二人の生徒。クロとレクス。この日もクロの対戦相手はレクスだった。


「今日は勝たせてもらうよ、クロ」


 クロと対等に闘えるのがクラスの中でレクスしかいない。他の生徒とは実力の差が離れすぎているからである。

 レクスも二年生に進級して初級の魔法をすでにマスターし、中級の魔法も少しばかり扱える程度に成長した。

 クロの力、『クロ魔法』は単純に、黒い力を体外へと発現させ、意のままに操れるというもの。それは、触れたものを破壊することもクロ自身の身体能力を驚異的に向上させることも出来る。

 その、圧倒的な能力の真の脅威は相手の魔法をも破壊することにある。

 この力の前ではどんな魔術師であっても無力だった。以前、試しにロッソの放った上級の魔法であろうとも破壊することが出来た。

 破壊とは、無に帰す事と同意であった。そこに魔法がなかったかのようにクロ魔法は全ての魔法を消し飛ばす。

 この日もいつも通り、決まっていたかのようにクロが勝った。





 授業が終わり、クロたちは学食で夕飯を食べていた。


「まったく、クロの魔法は反則級ね。どうやって勝てばいいのよ」


 愚痴を垂れたのは珍しくサフィラだった。以前、サフィラもクロと闘ったことがあるが、サフィラの完敗に終わった。


「確かに。今じゃレクスも勝てないからな」


 トラゴスの言うとおり、レクスも最初の頃はクロに負け続けていたわけではない。一年生の終わりごろから始まった実技授業。負けるほうが多かったが、それでも少しは勝つことが出来た。しかし、今となってはクロに勝つことが出来なくなっていた。


「クロの成長ぶりはすごいからね。僕ももっと努力しなければ」


「充分だって。この時期に中級使えるの学年でもあんまりいないぞ?」


「だけど、クロには敵わないからね」


 その言葉で会話が終わった。クロ自身も何も言えない。この力が魔物から授かったものだなんて到底言える筈がなかった。今でも皆はクロが新しい魔法を見つけたと思っているから。


「そういえば、もうすぐだよね。新入生」


 マルグリットが沈黙に耐え切れなかったのか、会話を切り出した。


「今年は何人、入学するんだろうな」


「どうせ、アンタは可愛い娘目当てでしょ」


 再び、賑やかな雰囲気が訪れた。


「それにしても長いようで短い一年だったな」


「あっという間だったよね」


「これからあと二年で魔術師になるかが決まるのか…」


 ユートピア学園では三年の最終科目として生徒一人だけで魔物を討伐するという授業が存在する。これはどんなに成績の悪い生徒でも受けなければならない卒業資格であり、この授業の成績でシュルヴィーヴルに入隊できるかが決まる。試験自体は受けるだけで卒業資格が与えられるが、途中で棄権したり、討伐が不可能になるとシュルヴィーヴルへの道が閉ざされてしまう。

 ユートピア学園の生徒、魔法学科と騎士学科の生徒はこの最終科目を無事突破することを目指し、勉強をしている。


「クロなら、楽勝だろ」


「そんなことねぇよ。俺だって、魔物とは闘ったことないんだし」


 嘘だ。正確には本当だけど、自分ではない黒い力に支配された時の自分が闘ったのだ。全く記憶にないことだ。


「ま、今は新しく入る新入生に負けないように頑張らなきゃね」


 しばらく談笑が続き、それぞれ部屋へと戻っていった。



~あとがき~

 今回は新学年を迎えたクロたちの話でした。前回までの話を一章だとすると今回の話から第二章が始まります。

 いつ区切りになるのかはまだ決めていませんが、騎士学科の生徒やエテレインの代わりに入ってくる学科最高責任者なども登場させていく予定です。

 相変わらず、下手な文章だと思いますが、それでもお気に入り登録しているヒトには感謝しています^^

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