第二十一の魔法「エテレインの目的」
エテレインの目的はただ一つ。クロの持つ黒い力。アレさえ手に入れば全てが思うままになる。しかし、職員の姿が見えないことがエテレインを焦らせる。
すでにヴァローナの召集によって集まった職員は事の全てを聞かされている。つまり、エテレインを捕まえるために必死になっているということ。
エテレインは最後の作戦に出た。必要なのはクロと、クロを一番に心配し大切に思っている人。後者にはアテがある。フィリップの情報だが、やっと役に立つ。向かった先はある教室。中からは生徒の声が聞こえる。まだ、職員が来ていないようだ。扉を開け、中へと入る。クラスの生徒全員が、なぜ?という疑問を抱いた顔をしている。当然だ。本来、学年の違う職員が教室に来るのは珍しい。生徒たちは何が始まるのか解らず、顔を見合わせていた。
「このクラスに、ローザという生徒はいるか?」
「はい」
小さな声で返事をするローザ。エテレインはローザに歩み寄りこう告げる。
「大事な話がある。一緒に職員室まで来て欲しい」
「……わかりました」
渋々といった感じだが、了承してくれた。後は、あの場所へと行くだけだ。
ロッソがクラスに戻ったとき、すでにエテレインはいなかった。しかし、今はそんなこと知る由もなく、ただ生徒の無事を確認しに来ただけだった。
「なんだか、今日はやけに先生が来るよなぁ」
ある男子生徒のその言葉を聞き逃しはしなかった。
「おい!オレ以外にも誰か先生が来たのか!」
いきなり怒鳴られて男子生徒は少し腰を引きながらも質問に答えた。
「えっと、三年の最高責任者で……」
全部を思い出していない男子生徒だったが、最高責任者という単語だけでエテレインだと理解できる。
「エテレインだな。何をしに来たんだ?」
「ローザに話があるって言ってどこかに………」
ロッソは教室を飛び出した。エテレインの目的が何かは解らない。しかし、自分の生徒に被害を出されたのなら決して許すことは出来ない。
「おい、ロッソ。どうした?そんな血相を変えて」
廊下で同じく捜索をしているアスワドと合流した。
「アスワド先生、どうやら、ウチのクラスにエテレインが来ていたらしいです。そして、女子生徒を一人拉致したと思います」
「な、なんだと!まさか、クロか?」
「いえ、クロは謹慎処分ですから部屋にいる筈です」
「とにかく、二人で探すぞ!」
アスワドと共にロッソは再び、捜索を開始した。