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第二の魔法「不良少女の友達」

 ユートピア学園の職員室に叫び声が響き渡る。クロは騒ぎを聞きつけた他の教師によって職員室へと連れられた。


「まったく!お前はどれだけ備品を壊せば気が済むんだ!」


「別に、壊そうと思って壊したんじゃねぇ。もろいんだよ」


「そういう問題じゃないだろ!」


 口うるさく説教しているのは魔法学科一年主任のアスワド。巨体とそれに似合った野太い声は生徒を圧迫するのに充分だった。しかし、クロは平然としている。これで十回目。すでに聞き飽きたほど説教されている。


「まったく、お前に説教するのも飽きてきたわ。何度言っても聞く耳持たないしな」


「よくわかってるじゃん。じゃあ、そういうことで」


「あ、クロ。ちょっと待て」


帰ろうとしたクロを呼び止めるアスワド。


「何だよ?まだ何かあるの?」


「いや、そのな・・・」


「何もないなら帰るぞ。じゃあな」


 立ち上がり、止めようとするがすでに職員室の外に出てしまった。


 職員室から出ると自分と同じように教卓の前に立っていたローザ・サフィラ・トラゴスの三人が待っていた。


「またアスワドのおっさんに怒られたのか?学習しないな」


 いつも通り皮肉を叩いてくるトラゴス。


「大丈夫だった?なにか変なこととかされなかった?」


 必要以上に心配するのはローザだった。全寮制のユートピアでローザとはルームメイトであり、この学園で最初に出来た友達だ。とにかく心配性でいつも私のことを気にかけている。ちょっと度が過ぎている面もあるけど。


「そんなことどうでもいいからさっさとご飯食べに行きましょ。コイツのせいで大好きなローストチキ

ンが食べられなくなったらどうするのよ」


 サフィラに至っては私のことよりも自分のことで頭が一杯になっている。大好物の肉を早く食べたいのだろう。


「じゃあ、一人で先行っていたらよかったじゃん」


「おバカ!そんなことしたら友達一人もいないみたいじゃない」


「てかよ、昼からローストチキンて、女子とは思えないな」


 間髪いれずに今度はサフィラに皮肉を言うトラゴス。トラゴスはとにかく人をおちょくるのが好きだ。


「うるさい!肉が好きなのよ!肉が」


「あ~あ。そんな姿見られたらファンが減るぞ」


「ほんとに一々うるさいわね。粉々に切り刻んでやろうかしら」


 さらりと怖い台詞を吐くサフィラ。おしとやかなイメージがあり学年でも人気の高いサフィラだけど、その実態はかなり凶暴な性格の持ち主だ。エルフ族ということで助けられている面もある。実際、私とローザ・トラゴス以外はサフィラの本性を知る人はあまりいない。

 サフィラとトラゴスのやり取りを見ながら私はローザと手を繋いで後ろを歩いていく。


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