第八章 「本望」
あの男はやはりいつものように公園でサッカーをしていた。
「図星」
そう呟き思わず笑みをこぼした。
「純粋なやつはいいなぁ」
そう思いながらポケットに手を突っ込み、ナイフを取り出した。後ろから近づき背中に一撃喰らわした。ちょっと浅くしてやった。
わざとだ、この男と少し話すために。
「即死じゃなくて良かったなぁ」
倒れ込んだ男の上にまたがって、再度包丁を刺す真似をした。びびっている表情がなんともたまらない。俺の方を見ると驚いたように目を丸くした。
「お前。。何すんだよ」
痛そうにしてやがる。本望だ。
「お前俺の妹とどういう関係だ?あ?」
「なんの関係でもねえよ、あんな奴」
笑いながら答えたその顔はなんとも醜い顔だった。今にも心臓を突き破ってやりたかったが、自分の気持ちを押し殺すようにして質問を続けた。
この男から全て聞き出すまで、後悔させるまで殺せない。
心の中で再度強く想った。
「あんな奴ってなんだ?お前俺の妹をなんだと思ってる!!」
「なんとも思ってねぇよ」
震えた声で言った。その後いろいろ聞いた。妹が男のことを好きだったこと、それに男は気づいていてもて遊んでいたこと。次から次へと出てくるこのクズさにひどく呆れた。