表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
依存  作者: 橘蒼良
5/12

第五章 「手料理」

 今日は兄と一緒に夜ご飯を作る。

お互いバイトの給料日が重なったのもあり、今日くらい贅沢しようということになったのだ。今から食材を買いに行く。

 玄関で靴を履いていると、後ろから

「今日バイクで行くから後ろ乗って。あと、これ」

そう言ってヘルメットを渡してくれた。

「バイクで行くの?初めて、バイク乗るの」

「あそうだっけ?チャリ漕ぐのめんどいから原付で行こうと思ってさ」

「ふーん。このヘルメットもしかしてお兄ちゃんとお揃い?」

「あーそうそう。俺が前に予備用として二つ買ってあったやつ」

「やったぁ」

 私は嬉しさいっぱいだった。私の思考はもはや彼氏に近いのかもしれない。お揃いは一緒の証だと思っている。それほど嬉しいものはない。

 スーパーに着くと、周辺が人でいっぱいだった。普段ここの地域は人が少ないため、こんなことは珍しかった。

「なんか今日人多くない?」

「な俺も思った。あ。」

そう言ってお兄ちゃんが指を指した先には看板が立っていた。そこに

「タイムセール」そう書かれていた。

「なるほど。」

 納得した。ここは滅多にセールをやらない店で有名だった。やるとしたら、年に1、2度だ。その貴重な日に今日巡り会えた。

「今日嬉しいこといっぱいじゃん」

「え?なんかこれ以外に嬉しいことでもあった?」

兄は不思議そうな目で私を見つめる。

「ん?あ、いやなんでもない。よし、いっぱい買っちゃお〜」

 私は一目散にスーパーの入り口へ向かった。そしてカゴに次から次へと食材を詰め込んだ。

「おい待て。どうせ買うの俺なんだからいっぱい買うな」

「いいでしょ、いつもより安いんだからいつもよりたくさん買ってもきっと同じ値段だよ〜」

 こんな幸せがたくさん続いて良いのだろうか。少し不安になる。でも今精一杯楽しまなければ損だ、私の中でそう思った。


 家に帰り、買ってきた食材をダイニングテーブルに広げる。

「結構いっぱい買ったな〜」

「だね〜!」

兄は慣れた手つきで具材を切り始めた。

「切るのうまいね」

「慣れてるからな」

「どっかで習ってたの?」

「ん、ううん。独学。かっこいいだろ?」

 自慢げに言いこちらを見る。

「そうかな」

 笑いながら答えた。内心「めちゃくちゃかっこいい」と叫んでいた。私は初めてのカレー作りを試行錯誤しながら作り進めていった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ