宝くじが当たったら
宝くじが当たったら、人生が変わるでしょうか。
誰でも一度は考えたことがあるだろう。
――宝くじが当たったら
木野屋卓都も、暇さえあればそれを考えている。お金のかからない現実逃避だ。
【前後賞合わせて7億円】
なんてテレビCMや、電車の吊り広告を見つけると、卓都はたちまち妄想の世界へと旅立つ。
もし、宝くじが当たったら。
一等に当選し、手続きとか諸々の何かしらで、5億手元に残るという勝手な設定で、妄想を開始する。
一億は人のために使う。
例えば、寄付。それから冠婚葬祭系の出費。
自分のためだけでなく、人のためにも使うことで、億万長者になっても、庶民の感覚を忘れないようにする。
次の一億。マンションを買う。といっても、高級マンションは買わない。
死ぬまで、マンションの管理費と固定資産税を、その一億円の中で賄える物件にする。
次の一億。これは旅行だな。
次の一億。生活費。宝くじ当選と同時に、仕事を辞める。細々生活していけば、死ぬまで生活できるのではないか。
もし、困窮の兆しが見えたら、旅行や寄付から回せばいい。
最後の一億。これは、もしもの時のための貯金だ。
老後にかかる必要経費が、二千万と聞いたことがある。それが少し前から、三千万だったか、金額が上がっていたはずだ。
だから、今後もそれは上がっていくだろうと予想して、貯金はしっかりしておこう。
――完璧だ
卓都は満足気にため息をつく。
今日は年に数度ある、宝くじの発売日。高額当選が出た店舗の前には、長蛇の列ができている。
――宝くじ買うお金を貯金した方が、現実的だぞ
列を横目に見ながら卓都は思う。
妄想は完璧の卓都は、これまで一度も宝くじを買ったことがないし、これからも買うつもりはないのだった。
読んでいただきありがとうございます!
私も宝くじを買ったことはありませんが、妄想を楽しんでいます。




