歌など
─『星を散らす月の船』月の女神の歌─
※第一部前編107話、140話 第二部前編99話 第三部前編68話(未)
天の海 雲波立ち 月の舟……※
伝う雫の数だけ
命を捧げましょう
愛するあなたのために
嘆けば嘆くほど
流れる星は美しい
全て奪って
何もなくなったら最後
あなたの元へ帰れる
ここにある星が全てなくなれば
月の舟、ああ月の舟
恋い恋いて
星の林へ漕いでゆく
月の女神よ
汝への想いは消えぬ
星は消えても想いは消えぬ
汝は照らす 照らし続ける
《歌の意味》
古代の王が森を歩いていると、湖で沐浴する月の女神と出逢う。二人はたちまち恋に落ち、その場で愛し合う。だが、王には妃がおり、怒った女神は月へ帰ってしまう。
月の船に乗り、星の海を渡る女神の神々しさに星々は蹴散らされ、地上へ降り注ぐ。
空から降ってくる星を捕まえた恋人が彼女を想う気持ちを歌うのである。
アニュラスに三千年以上住み続ける旧国民と亜人達の歌。国によっては歌うことを禁じられている。
※万葉集 一〇六八 人麻呂歌集
─無名 アマルの詩─
※第二部前編47話「舞台裏」
みんな獣の顔だ
置き忘れた憎しみが
追いかけてくる
恥辱に満ちて
無駄な記憶を消してやる
悪魔を取り出してやるよ
そうすれば、いい子になれる
今宵は内海人も大陸人も一緒だ
殺し合う時
癒し合う時
本当の自分になれるのさ
世界は不思議に満ちている
別の道を示した所で
おまえらは逃れられない
教えろよ
母親は何をすればいいのか
現実を見ろ
兄弟にそんなこと言うんじゃない
安易な道を選ぶ
だから変われない
※第二部後編43話「ドリカム」
朝、起きて気付いた
いつもと同じ
そうだよな、みんな?
生きていく価値とは?
神よ
あなたは罠を仕掛けた
物を崇めてはいけないと
縛りながら
我々に武器を与え
互いに殺し合うのを見ている
君と俺は同じ
悪魔に連れて行かせはしない
今こそ立ち上がろう
兄弟よ、愛してる
でもまだ足りないんだ
もっと歩み寄ってくれ
変わってしまったのか?
世に流されて
いや、変えるんだよ
それが道理だ
─歌劇「レーヌとジョゼフ」より─
※第三部80話、102話
苦しみから解放され
幸せそうなあなた
あなたの心は
自由に空を飛び回っていることでしょう
小さな鳥籠で
与えられた物しか知らなかった私達
何も知らぬ方があなたは苦しまなかった
出会わない方が幸せだった?
私のせいで
愛という自由を知ってしまった
あなたがいたから甘い夢を
たくさん見れたの
大事な人
今度こそ一緒になりましょう