表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/9

第3話 ノリと勢いで結婚しました

※本日3回目の更新です。



それから私たちは、すぐに卒業パーティ会場に引き返して結婚式を挙げた。


善は急げって言うでしょ。早いに越したことはないわ。

王族の人たちが何やらもめている最中だったけど、割り込んでごめん。


殿下たちが唖然とする中、女神力で衣装替えをして白いウェディングドレスとモーニングコート姿になり、赤い絨毯の上をクリスと腕を組んで歩いていく。

私の髪が赤紫色だから、緑髪の彼とは補色的にも見映えは良いはずよ。


天界から光を照らさせて五色にライトアップして、赤ちゃん天使に祝福のラッパを吹いてもらったわ。

ついでに色とりどりの花びらもひらひらと降らせておいた。


みんなびっくりしてるわね。ここからが本番よ!


新郎のエスコートで舞台に上り、ようやく指輪の交換となったわ。

急なことだから指輪なんて用意してないし、味気ないけど女神力で出すか~と思ってたら、クリスがスッと青いジュエリーケースを懐から取り出した。


「マール様、どうぞこちらを」


用意いいわね!

思わぬサプライズにドキッとしたわ。クリスも指輪も輝いて見える。素敵!

しかも本物の白金(プラチナ)製じゃないの。怖いぐらいに私の指にピッタリよ。


大勢に見られてて恥ずかしいから、誓いのキスは頬にちゅっとした。

クリスは顔を真っ赤にしていた。こんな時ぐらい、メガネ外せばいいのに。

まあ似合ってるからいいか。


いや~まさか守護天使と結婚することになるとは思ってなかったわ。

勢いって怖いわね! でも後悔しない!


「突然ですが、私たち、今から結婚しまーす!」


かなりタイミングがずれた気がしつつも、高らかに宣言する。

観客たちはしーんと静まり返っていたわ。ノリが悪いわよ。


フリスト殿下と偽聖女が、激怒しながら詰め寄ってきたわ。

「貴様ら、どういうつもりだ! マール、それにクリスまで」

「クリス君、なんで貴方がマールなんかと。その女は聖女じゃなくて魔女よ!」


クリスは私をかばって前に立ち、おごそかに言い放つ。


「はい。マール様は聖女ではありません。もっと崇高な存在だったのです」


えっ? そうだったの。確かに正体は女神だわね。


「皆さん、先ほど彼女が起こした奇跡をご覧になったでしょう。マール様こそが、『聖神女(せいしんじょ)』の称号を持つ唯一のお方なのです!」


クリスが観衆に向かって真顔で語り始めた。そんな称号聞いたことないけど。

彼は前を向いたまま、小声で私に話しかけてくる。

「なにか、皆が喜びそうなものを女神の力で降らせてもらえませんか?」


喜ぶもの? そうね。だったら――――


空から、キラキラと金銀銅の丸くて小さな物体がたくさん降ってくる。

ケガしないように、ふわふわと遅い速度でね。


「私からのご祝儀よ! みんな、受け取って!」

「「うおおおおおぉぉっ!」」


参加者たちは喜びの声を上げて、降り注ぐ金貨や銀貨を銅貨を追いかけたわ。

殿下や偽聖女や取り巻きたちまで拾ってるのはどういうことなの。


人間界に来てから聖女の仕事で貯めたお小遣いだけど、まいっか~。

本当はこっちがご祝儀をもらいたいぐらいだけどね。貴重な食費が…。


でも、みんなに喜んでもらえてよかった!


私がにこにこしていると、なぜかクリスが渋い顔をしていた。


「なんでまた、お金なんて即物的なものを……」


「だって他に思いつかなくて。みんな大好き現金払いでしょ!」


クリスは溜息をついて銀縁の眼鏡を外し、綺麗な翠色の瞳で覗き込んできた。


「はあ。昔から面白い人だと思ってましたが…好きです。愛しています」


「!」


強引に抱き寄せられ、口づけをされる。

まさかクリスがこんなに積極的だったなんて……。


み、みんなこっち見ないでよね。そのままお金ひろってていいわよ!



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↓完結しました!
侯爵令嬢は空気を読みたい
不思議な能力で自らの破滅を知った令嬢がハッピーエンド目指して頑張るお話です。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ