友人キャラを極みにまでステ振った俺は、眠い。
「か、かわいいよっ・・・ブフッ」
「・・・・」フフッ
「・・・」ワナワナ
「・・・き、キメぇ」
俺は戦慄した。
俺は絶望した。
俺は激しく慟哭した。
あの文明の利器、そして世の中の多少不細工な娘でも可愛くできると言われてきたあの、あのプリクラさまが。
俺をここまで退化させるなど。
誰が想像出来ただろう。
いや、俺はしていた。
「だから嫌だったんだけどなぁ」
「だから連れてきたんだよ、ノリ」
「ま、最後だしいいか」
「・・・それをここで言うのか?」
「・・・」
一のわりには珍しい、怒気を含んだその目線を俺に向ける。
俺はそのままその目線を真っ向から受け、真っ向から意思を見せないような目線を返す。
「・・・ああ」
「・・・今度は僕が怒る番かな?」
「ウッせ、分かってて言ってんだ。ほっとけ」
そう、俺は1人、通学に一時間かかる山奥の高校へと進学する。
これは決定事項。
俺は受験に人生はつぎ込んでいない。
本来なら就職なつもりでいたが、自分の非力さと無力さを鑑みて、止めた。
それでも就職先は決めているが・・・それは今じゃないな。
ま、友人関係は続けるつもりだし、遊ぶと言ったら遊ぶのだが。
そうとも言えない事情もある。
一は進学校。
白は普通の高校。
俺は、どっちかというと下から数えて早い高校。
これにはあまりお金を掛けたくなかった俺が一発合格、公立一本と言った時に、変に普通の高校を受けようとして落ちた時の出費を計算してだ。
彩音は当然一よりももっと上。
彩音をこのメンバーで普通に接せれるようにしたのは俺だ。
自惚れるなら、彼女は俺の事が好きか、興味を持ち始めている。
確かに彩音が悪い奴ではないことも分かっている。
三年も同じ教室にいれば大抵わかる。
それでも、俺は・・・
「そうほっとく奴に見える?僕が」
「・・・ほっとかないなら」
「今回は語らないよ」
「ほーん」
「一!取れた!」
「お、可愛いね」
「「・・・」」
エ、何見せられてるの?
彩音なんて黒い触手みたいなオーラが背中に・・・あ、引っ込んだ。
「くぁっ・・・ねむ」
「うーん・・・ねぇ、お腹減らない?」
「エ、帰りたい」
「そうね」
「エ、帰らして?」
「それじゃ、マックでいい?」
「エ、帰ろうよ」
「やったね、ノリのおごりだァ」
「・・・」
オチ、無くね?