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第04話:戸惑い

今回は仮染太郎視点です。

■side染太郎


アランが寝た後、俺は目覚めた。

といっても、この体はアラン=ウェルシアのものだ。

いまいち理解が追い付いていない。


「リリーさん、聞こえてますか?

 少し教えてほしいんですが??」


しかし、応答はなかった。

うーん困った。とりあえず状況を整理するか。


「ステータス オープン」

ステータス画面を表示する。

----------------------------------------------------------------------

[ステータス]

氏名 :アラン=ウェルシア <<インストール済>>

年齢 :24

種別 :人間(男)

レベル:10

体力 :2,039

魔力 :512

ジョブ:記者

スキル:【隠密】【地獄耳】【話術】【投擲】【文書作成】

    【火魔法:ライト】【風魔法:疾風】【光魔法:フラッシュ】


----------------------------------------------------------------------


----------------------------------------------------------------------

[サブステータス]

社員名:仮 染太郎

年齢 :29

番号 :N1905

情報 :【開発者権限】【連携:アラン=ウェルシア】【言語理解:ビー語】


[ミッション]

・ダールトン伯爵に情報提供する。

・届ける情報はリュックに入っている書類に記載している情報

・期限は3日。(残り58:31:41)

----------------------------------------------------------------------


ステータス画面では<<インストール済>>と表示されている。

無事とは言えないが<インストール>は成功したようだ。


また、サブステータス画面では、連携:アラン=ウェルシア、言語理解:ビー語が追加されている。

<インストール>をすることで、そのキャラクターの習得している言語を理解することができるのか。

激痛を伴うのは<インストール>はリスクが大きい。考えものだな。


それにしても、重要なのはアラン=ウェルシアが俺の意思とは関係なく行動していたことだ。

リリーさんの言っていた自動シミュレーションによるAIの行動なのだろう。


ただ、意識を失っている時だけでなく、うっすらとだが意識が戻ってもアランの意思が反映されていた。

意思の優先順位の基準はなんだろうか。

俺の意識が希薄な状態だとAIの行動に切り替わるのだったら、業務遂行に影響が出るかもしれないな。


そうそう、肝心のミッションだ。

アランが就寝前につぶやいた言葉は『ユラシル伯爵』だ。

しかし、俺に与えられたミッションは『ダールトン伯爵』に情報提供することだ。


これの意味することは、AIの行動のままに動いてはミッションを達成することができないということだ。

リリーさんから説明はなかったが、シナリオを修正するためAIではなく俺達社員が操作をする必要があるということか。


それにしても、よりによって『ダールトン伯爵』か。

<インストール>を実施した結果、アラン=ウェルシア自身の知識と経験を理解することで様々な状況を把握した。


『ユラシル伯爵』と『ダールトン伯爵』の両者はあまりいい関係ではない。

領地や財政状況なども似ている両者は現在、一触即発の争い一歩手前の状況だ。

両伯爵家の娘がアーノルド侯爵家の長男の婚約者候補に挙がっているからだ。


恐らく今回持っていく書類は侯爵家へのアピールとなるものからライバルのスキャンダル等、自分たちにとってメリットとなる情報なのだろう。

ランター新聞社としても侯爵家へのパイプは魅力的なため、積極的に連携したいはずだ。


そういう意味ではカンタ支局長とリー支局長が積極的に動くのも頷けるが…。

アラン自身もカンタ支局長の動きは気にしていたようだが、俺も怪しいと感じている。

カンタ支局長にとっても今回の件は重要な案件のはずだ。それこそ支局長本人が動いてもおかしくない。

事前手配はしっかりしているのに、最後の詰めは自分が立ち会わないのは不自然に思える。


「この書類の中身が重要だな。

 魔法によるセキュリティがかかっている。解除できる魔法師が必要だが…。」

 

書類が重要な意味を持つ場合、魔法によるロックが掛けられる。

このロックは解除するための魔法スキルを持つ者が必要となってくる。

ただし、1度解除を行うと書類に解除痕が残るため、未開封かどうかは一目瞭然となっている。


「もう一度ウィル支局によるべきだろうな。

 何かしら知れるかもしれないし。

 さてと、明日が勝負どころだな。とりあえず寝るか。」


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