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帰宅部活動記録  作者: くるみたん
1/1

7月1日 ~

よかったら見ていってください!!

キーンコーンカーンコーンキーンコーンカーンコーン


放課後を告げるチャイムが鳴り響いた。今のご時世少し古風に感じさせるような鐘の音を聞いて、クラスの連中は部活へ向かうために続々と教室を出ていく。


「今日の練習試合楽しみだな!」

「他校のかわいい子探そうぜ!」


他愛もない会話を耳にしながら、俺は筆記用具を取り出して一冊のノートを開いた。


 7月1日 帰宅部活動記録  

 平常通り。非常に暑い、それ以外何も感じなかった。

 天気:晴れ

 時間割:5限まで


 そうノートに書き終えた俺は、席を立ち教室を後にした。 


 まだ廊下で駄弁っていたクラスの連中を横目に早足で帰宅を試みる。彼らとあまり馴染めなかった俺にとって日常的な光景だった。日頃から一人で行動をとることが多く、これといって入りたい部活もない。いつの間にかクラス内ではグループが形成され、気づけば俺は‘‘ひとりぼっち‘‘になってしまっていたのだ。積極的に他人と話すようなことを今までしてこなかったので、当然といえば当然の話かもしれない。


 「ほんと暑いなぁ・・・」

下駄箱に着いた俺はそう呟いた。 

 六月中頃まで日本列島に張り付いていた 梅雨前線は北に流れ、日本各地で梅雨明け宣言がされたらしい。例年よりも少し早めの梅雨明けなのだが、今後地獄のような残暑が待っていると考えると頭が痛くなる。加えて、耳障りに感じるほど大きいセミの鳴き声も聞こえてきて余計に早く帰りたくなった。

 上履きから靴に履き替えて、外に出ると猛烈な日差しに襲われた。5限が終わって時刻は2時過ぎ、ちょうど日差しが照りつける時間帯になっていて、道路からも熱気がこみあげている。


 「今日も回り道せず帰ろうか」

俺は普段通りの帰路に立つことにした。

 中学に入学してから俺は、たびたび回り道をして帰宅することがあった。河川敷・近くを走る鉄道の線路沿い・近所のゲームセンター等、気の赴くままに歩き回る。そして、毎日帰宅部活動記録というものをつけて自分の放課後の行動を記録していた。新学期が始まってすぐの頃は新たな発見がたくさんあって、飽きずにびっしりノートに記録していたのだが、最近は暑さのせいもあって回り道をしないことが増えた。徐々に内容もマンネリ化してきて、ノートには余白の部分が目立ち始めている。


「帰宅部活動記録か・・・」

弱弱しい声と共にため息を漏らした。


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