不審船襲来
「」の前にある漢字は発言した人物を表しています。
葵→綿貫 葵
千→吉田 千香
美→巴 美沙
真→真鍋 真由美
華→井上 華鈴
雪→篠崎 雪
七→環 七海
全→全員
無し→それ以外の人物
私は大和に乗り込み、すぐに艦橋へと向かった。
艦橋には既に副長、航海長、砲術長、水雷長、ミサイル砲雷長、レーダー情報官、が待機していた。
進行係の女性自衛官が大和の説明をしているうちに私達は自己紹介をすることにした。
一度顔合わせはしているものの、まだ名前までは覚えられていないからだ。
「私は艦長の綿貫 葵です。以後よろしく」
「私は副長の吉田 千香です」
「わ、私は航海長の巴 美沙です」
「砲術長の真鍋 真由美よっ!」
「・・・水雷長、井上 華鈴・・・・」
「ミサイル砲雷長の篠崎 雪です」
「レーダー情報官の環 七海です〜」
個性豊かなメンバーだけど、仕事は一流だから頼もしい。
暫く所属していた基地のこととか好きなものとかを話し合っていたらだいぶ打ち解けることができた。
葵「まだ出港できそうにないからこの後の説明をするね。進行係の合図があったら出港、その後すぐにアレを撃つよ。真由美、お願いね!」
真「了解です、艦長っ!」
ちなみに私以外はみんな名前で呼びあうことになった。
私は「艦長は艦長って呼びたいです!」とみんなに言われてしまったので、仕方が無く諦めることに・・・
う〜む・・・残念。
っと、そろそろ出番かな?
今回は特別に出港する際の艦橋の様子を見せるためにビデオカメラが設置されている。
そのため大和の説明も少し私たちが担当することに。
「・・・以上大和の歴史でした。続いて、この"新型大和"のどこが新型なのかを紹介してもらいましょう!説明は"新型大和"の砲術長、真鍋3等海佐にお願いします。」
進行係の言葉に真由美は頷き意気揚々と話し始める。
真「はい、"新型大和"の砲術長の真鍋3等海佐です!もともと大和は主砲の3連装砲が前方に2基、後方に1基。艦橋周辺には多数の副砲、機銃、対空砲を有していました。そこに今回、現在主流のイージス艦の機能を搭載したのです!つまり、新たに魚雷、ミサイル、レーダーなどを搭載したのです!これにより大和は、更に火力が上がり強力になりました。太平洋戦争当時は一隻で敵艦隊を壊滅させることができるかもと言われていた大和ですが、もはや夢ではなく現実にできるかもしれませんね!以上で説明を終わります。」
「真鍋3等海佐、ありがとうございした。それでは遂に"新型大和"、出港です!お願いします!」
遂に私の出番がきた!私は進行係の合図に頷き・・・
葵「出港準備!前部員、錨鎖詰め方!出港用意!錨を上げー!」
千「艦長!青旗上がりました」
葵「青確認、両舷前進微速!270度宜候」
大和が動き出したことにより、会場の興奮は更に高まる。
少しして・・・
真「特別弾装填完了!」
葵「特別弾装填確認。目標、式典会場上空!」
真「主砲旋回!方位角右70度、仰角45度!主砲発射よーいよし!」
葵「撃ちー方ーはじめっ!」
真「撃てっ!」
《ドドドオォォォォォォン!》
轟音が鳴り響き、遅れて衝撃が大和を襲う。
実弾ではないため比較的威力は小さいが46cm三連装砲の斉射は凄まじい。
撃ち出された弾は丁度会場の上空に差し掛かったところで大輪の花を咲かせた。
そう、花火だ。
今日のこのサプライズのためだけに開発された特大花火9連発は式典の最後を飾るにふさわしいものであった。
過去最大級の特大花火によるサプライズで会場の興奮は最高潮となった。
どうやら今回のイベントは大成功に終わりそうだ。
七「ビデオ止まります」
真「主砲旋回、元の位置へ」
葵「航海長操艦」
全「航海長操艦」
葵「両舷前進原速赤黒なし、針路270度」
美「頂きました航海長、両舷前進原速赤黒なし、針路270度」
葵「ふぅ〜、みんなお疲れ様、この後は暫く何もないから自由にしてていいよ」
真「じゃあ、『Lost Warship』について熱く語りましょうっ!」
七「いいですね〜」
「・・・・・」
しかし、この時私達にはまだ、あんなことが起こるなんて知る由もなかった。
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昨日は出港してからはとてものんびりとした時間が流れた。
そうそう頻繁に問題が起きても困るのだが。
千「艦長、今日は霧が濃くて見通しが悪いので速度を落として航行した方が良いかと」
葵「そうだね、霧が晴れるまではゆっくり進もう!針路そのまま、両舷前進半速。周囲に注意しつつ航行せよ」
雪「それにしても2日目から霧とは・・・ついてないですね〜」
真「どこかのアニメみたいに過去に戻っちゃったり!」
美「ま、まさか〜、そんなこ・・・」
七「レーダーに感あり!11時の方向、距離46000!海自の船ではないので不審船です」
真「不審船?ここは海自の訓練海域で、立ち入り禁止のはずよ!?」
七「この霧で迷い込んでしまったのですかね?」
葵「どうだろう?とりあえず近づいてみよう!取り舵いっぱーい!」
美「取り舵いっぱーい!取り舵30度」
葵「もどーせー!230度ヨーソロー!距離10000まで両舷前進強速!」
七「不審船、進路変更!15ノットで南下中!」
葵「針路修正!210度ヨーソロー!」
美「針路修正了解、210度ヨーソロー!」
葵「一応上に報告しておきましょうか」
七「それが・・・今無線も広域通信も何もかも使えないんですよ」
葵「えっ?霧のせいかな?」
七「さあ、どうでしょう?レーダーは変わらず使えるんですけどね」
葵「まぁ、報告は後でしましょうか」
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七「不審船まで距離10000!」
葵「両舷前進半速!霧で視界が悪いから障害物に注意して!七海、まだ通信繋がらない?」
七「まだ繋がらないですね・・・」
《ドォォォォォン!》
その時、遠くで轟音が鳴り響いた。
美「な、何?今の音・・・」
《ヒューーーー、ザパーーーン》
七「み、右舷後方に着弾!不審船、発砲した模様!」
《ドドォォォン、ドドォォォン!》
葵「と、とーりかーじいっぱーい!最大戦速!」
美「とーりかーじいっぱーい!最大戦速!」
葵「もどーせー!」
《ザザーーン、ザザーーン》
七「右舷後方に2発、左舷前方に2発着弾!」
千「艦長このままではこちらにけが人が出てしまいます!」
葵「・・・威嚇射撃をしよう。あとで問題にならなきゃいいけど・・・」
真「先にあっちが撃ってきたんだから平気ですよ!」
葵「・・・そうだね、今はこの状況から抜け出す事だけを考えよう。戦闘用意!目標、不審船、距離4800!実弾、揚弾はじめっ!」
真「戦闘、右砲戦!1番2番主砲、方位角右10度仰角2.2度!主砲、発射よーいよし!」
葵「攻撃はじめっ!」
真「撃てっ!」
《ドドオオォォォォォォン!》
葵「不審船に私達が海上自衛隊の大和であることと、ここが立ち入り禁止海域であること、機関を停止させてこちらの指示に従わなければ撃沈も厭わないことを伝えて!」
雪「それにしても、撃ってきたってことは軍艦ですかね?」
葵「どうだろう・・・?」
七「不審船に打電しましたが応答なし、不審船針路、速度共に変化なし!」
葵「そっか・・・仕方ない、警告に従わないため、不審船を脅威と判断、撃沈する!主砲、次弾装填!真由美、どこまで近づけば確実に当たる?」
真「3000です」
葵「わかった!距離3000まで接近!」
美「了解、3000まで接近!あと10秒で3000です!」
葵「とーりかーじ!敵のか針路と平行になるようにして!」
美「了解、とーりかーじ!取り舵20度」
七「あと1000で霧、抜けます」
真「照準よし、装填よし、主砲発射よーいよし!」
葵「1番主砲発射!」
真「1番主砲、撃てっ!」
《ドオォォォォォォン!》
千「着弾まで2秒、1、今!」
七「敵艦、速力低下!被弾した模様!」
華「水測員より、魚雷音聴知・・・」
葵「おもーかーじいっぱーい!」
美「おもーかーじいっぱーい!面舵30度!」
葵「もどーせー!」
華「魚雷、直撃コース外れます・・・」
《ザパーーーン!》
七「右舷後方で爆発!」
葵「2番、3番主砲発射!」
真「2番、3番主砲撃てっ!」
《ドドオオォォォォォォン!》
七「霧、抜けます!」
そして濃い霧を抜け、目の前に広がったのは驚きの光景だった。
登場人物(現在公開されている情報)
・綿貫 葵
1等海佐 女 海上自衛隊横須賀基地所属 サバサバとした性格でお姉ちゃん的存在。
・吉田 千香
2等海佐 女 海上自衛隊呉基地所属 クールで真面目だが、パニックになると思考が停止する 。
・巴 美沙
3等海佐 女 海上自衛隊佐世保基地所属 引っ込み思案だが意外と好戦的。
・真鍋 真由美
3等海佐 女 海上自衛隊舞鶴基地所属 明るく元気だが、調子にのると失敗する。
・井上 華鈴
3等海佐 女 海上自衛隊大湊基地所属 物静かで多くは語らないが仕事は確実にこなす
・篠崎 雪
3等海佐 女 海上自衛隊下関基地所属 性格はthe普通、本人は普通すぎることをコンプレックスに思っている。
・環 七海
2等空佐 女 航空自衛隊小松基地所属 のんびりマイペースだがどんな状況でも常に冷静でいられる精神力がある
いかがでしたでしょうか?ようやく戦闘もでてきてそれっぽくなってきました!主要キャラも出てきたのでどんどん話を進めたいと思います。引き続き誤字脱字などありましたら方向していただけると幸いです。