雪と僕と彼女。
「私ね、雪ってすごいと思うの」
彼女はいきなり言い始めた。
僕はよく聞こえなかったので聞き返した。
「え?」
そう聞くと彼女は
「私、雪って人間、いや、私に似てると思うの」
「どうして?」
僕はいきなり何を言い出したのかと思い疑問を抱く
「雪の結晶ってあるでしょ?顕微鏡とかで見るとすごく綺麗なの」
「うん、あるね。綺麗だよねアレ」
「私はねあなたと違って優等生だったり優しい人ってわけじゃないでしょ?」
「う〜ん、でも優しいし、いつもテスト勉強とか手伝ってくれるし、頭いいじゃない?」
と僕は思った通りに告げた。
「それはあなただから知ってることでしょう?」
と彼女は自慢げに語ったが
この時僕は病んでらっしゃる人なのかな?と思ってしまった。
「まぁ確かに、そうかもしれないなぁ」
「でしょう?でも学校じゃそんなことないじゃない?」
「私が言いたいのはね、雪っていうのは埃とか塵が混じって落ちて来る汚い物だし厄介なものだって言われてるけど、
よく見ると綺麗な物だって気付くじゃない?」
「う〜ん、でも普通に見てもゆらゆらと落ちる雪って綺麗だけどな」
「あなたの主観でしょそれは」
笑いながらやり取りをする。
この時間が僕は結構好きだったりする。
だが、唐突に彼女は寂しげな表情をして
「私は周りからよく思われてないのは知ってるの。」
確かに、周りでは良い噂は聞かないし、だれとも話そうとしない
というのは思っても口に出せなかった。
だって本当に悲しそうで、寂しそうで、仕方なかった。
「そうなの?そういうのまったく聞いたことないから一概に認められないけど」
「うん。だって私の行動からして推測できるもの。」
「でも、だれとも私の中身を知らない、いや、中身を知ろうっていう興味がないからそうやって陰口が言えるってのは分かるわ」
「あなたは優しいとか良い人言ってくれるし、すごくよく見てくれてるから嬉しいけどね。」
「でも、あなた以外の人はそれを知らないから」
「そう、私はみんなからしたら埃と塵で固まった雪のようなのよ」
「雪の結晶っていうのはよく見なければ分からないから私は雪の結晶みたいなものなの。」
と、彼女は言う。
納得してしまった。なにもフォローできず僕はその場を黙って一緒に雪。という天気の中登校した。
それから授業中ずっと考え事をしてしまって
なにも頭に入らなかった。
話の内容じゃない。彼女が今どんな心境なのかを必死にずっと考え込んでしまっていた。
もしかしたらそうゆう陰口や噂を耳にしてしまったのかもしれない。
でも僕は彼女のいい所を知っているから否定をする。
だが心の中でしかできない僕をいつも卑下してしまう。
と考えている間に下校のチャイムが聞こえた。
「帰らないの?」
と彼女は聞く。
僕は黙ってうなずく。
沈黙が続くこの空間。普段の生活だったらかなり苦痛だ。
僕はとても沈黙が嫌いな人間のはずだった。
だけど・・・今はそんな風に思えない。
罪悪感で押しつぶされそうだからだ。
「どうしたの?」とふいに彼女に聞かれた。
「んーん、どうもしないよ。」
といつもよりはっきりとしない声で返して
「そろそろ帰ろうか」と僕は言う。
下校中僕たちは一切口を聞かずに歩く。
悪い癖だ、考え事をするとなにも聞こえなくなって自分の世界に入ってしまう。
「・・・い」
「・・・−い」
声は聞こえてくるが鮮明としない。
「おーーーい!!」
ハッっと我に返る
「ん?なに?」
「なんかさ、ぼーーーっとしてるからどうしてかなー?って思って」
こういう時本当に気にかけてくれるのは彼女だけだ。
と思った。
だけど朝言われたことが気になって気になって仕方がなかった。
「ちょっとだけ寄り道しよっか。」
と彼女は投げかけ
僕は黙ってまたうなずいてしまった。
まるで朝と夕方の立ち位置が逆転してしまったようだ。
滑稽だと自分を卑下する。
いつもの河原で二人で座る。
この時はもちろん隣同士、肩もベッタリ着く。
でももちろん雪で地面はグッショリ。
だけど気にせず座る。
実は言うとこのべったりの時、彼女の谷間が見えてしまうので目のやり場に困ってたりする。
そしていつもだったら先に口を開く僕よりも先に彼女の口が動く。
「朝のこと、気にしてるの?」
エスパーとかそうゆうのは信じてないけど
僕はいつも彼女に驚かされる。
僕が考えたりしてることがまるでお見通しのように。
「うん。ちょっとだけね、気にしてる。」
本当はかなり気にしてたりするけどここは平静を装って言う。
「嘘、結構気にしてるでしょ?こういう時よく嘘つくもんね。私知ってるんだから」
と彼女は横顔でも分かる程のドヤ顔で発言する。
やっぱりこいつ・・エスパーだな!?って思いつつも
「分かる?そうだよね、やっぱり」
もう性別も逆転して僕が女性で彼女が男性なのかと思いながらも言う。
「分かるよ、だって私、エスパーだもの!」
「う〜ん、そうだな、なんでもお見通しだもんな俺のこと」
彼女に登校中だった時のあの顔の面影は今はない。
でも僕は謝らずにいられなかった。
「あのさ・・・あんまり言うのは酷かもしれないんだけどね。」
「ん?」
「君の陰口とか悪い噂聞いたりしてたんだけど、ずっとずーーっとそこに交じって反論できなかった。ごめん。。。」
「なんだ、そんなことで悩んでたの?知ってたよ?」
「え?どうして・・・」
「私見て分かるから。あなたの表情とか見てね。それに私は聞こえないフリをしてただけ。
でも・・・それが私にとっては嬉しかったよ」
と彼女は僕に子をなぐさめる母親のような抱擁をして耳元で言った。
「今まで本当にごめん。これからは・・・」
「いいの、あなたがそんなに頑張ることはないの。」
「だから今まで通りでいて、あなたにこれ以上欠点が無くなってしまったら私には釣り合わないから」
「ありがとう。気分が晴れた。」
「ありがとうってこっちのセリフ、私が悩んでたりしてたらいつも助けてくれるから。」
「あ、それとこのハグは今までの貸しをチャラにしたいだけだからね」
「現金な奴だなもー。そろそろ帰るか!」
「うん!」
河原に座った時に感じた重みがなくなって
スッっと立てたのが驚きでやっぱり彼女がいないとダメだななんて、くっさいことを思ってしまったが
これからもよろしく。と心の中で呟いた。
今朝の登校ではいつも通りの笑顔で二人で登校したとさ。 おしまい
夏なのにハッと思いついて書いてしまいました笑
なんかちょっぴりこんな幻想的なものを含めた相談ってしてみたいですね。




