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最強4姉妹は異世界でも最強だそうです  作者: 紫煙人
第一章 新たな現実
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第5話 テンプレなんて起きない…はず

王都の外壁は、私達が知っているゲーム時代よりも一回り近く大きくなっていた。そして、門には王都へと入るための人の行列が出来ていた。ギルバートさんはその列には並ばずに門の目の前まで進んでいく。


「並ばなくて良いんですか?」


「はい。部下達に命令もしなければいけませんし、皆さんは身分を保証する物を持っていないと思うので私が口利きするので今日中に冒険者ギルドで登録してギルドカードを発行してもらってください。そうすれば身分を証明できるようになるので」


 私の質問に丁寧に応えてくれた。それを聞いてヒビキがテンプレキターと言っているが気にしない。それにしても並んでいる人たちがやたら私達を見ているが何でだろう?


「皆さんはお美しいですからね。私も仕事ではなかったら見惚れてそうですよ」


 と私の疑問を察したのかギルバートさんがサラッとそんなことを口にした。ただこの服装が珍しいだけなんじゃないでしょうかと思っていると門の目の前で王都に入る人をチェックしていた人達の内、二人が近づいてきた。


「「お疲れ様です!ギルバートさん」」


「お疲れ様。悪いんだが城に使いを出して私の部下を呼んできてくれないか?ここから少し行った所に魔物の死骸とそれに襲われた商人と冒険者達の遺体があるんだ」


「また、魔物の被害ですか。最近、多いですね。わかりました。おい!城に誰か行ってギルバートさんの部隊の人達を呼んできてくれ!」


「了解です!」


 返事をした人は走って門の中へ消えていった。ギルバートさんて結構偉い人なんだ。


「にしても冒険者達でダメだった魔物を撃退するなんて流石はギルバートさんですね」


「いや、私ではなくてこの人達が撃退したんだ」


「えっ!?こちらの女性達がですか?見かけによりませんね」


「こちらのシズクさんとヒビキさんは【古の血脈】らしいんだ。それで、皆さんは身分を証明できるのを持ち合わせていないらしいのでこれから冒険者ギルドでギルドカードを発行してもらおうと思っているんだ。そんな訳でここを通してやってもらえないかな?」


「なるほど。他でもないギルバートさんのお願いなら仕方ありません」


「すまないね。今度、酒をおごるよ」


 そんなやり取りですんなり王都に入らしてもらうことになった。門を潜るとゲーム時代とは景色は違うが雰囲気はどこか似ている中世ヨーロッパを連想させる活気のある町並みが広がっていた。


「申し訳ありませんが、私はここで部下達を待たないといけませんのでギルドへは皆さんで行ってください。ギルドはこの大通りをまっすぐ行って中央の大きな十字路を左に回れば見えますので」


「いろいろとありがとうございました」


「いえいえ。ではこれで」


 私がお礼を言うと爽やかな笑顔を浮かべてまた門の外へとギルバートさんは出て行った。


「いい人だったねお姉ちゃん」


「そうだね。じゃあ早速、冒険者ギルドに行って登録しちゃおうか?」


「さんせ~い」


「かしこまりました」


「はい」


 そして、私達はギルドへと歩き始めた。ギルバートさんが言ってた通りに歩くと直ぐに目的の冒険者ギルドを見つけることが出来た。ゲーム時代と変わらずに旗がクロスした看板があったので一目でわかった。


 中に入るとどうやら建物中に食堂を併設しているみたいで、お昼時ということもありギルド内はなかなか混雑していた。いくつか受付があり、私達は一番すいている受付へと向かった。


「すいません。ギルドに登録をしたいのですが」


「はい。登録には1万エニーかかりますがよろしいでしょうか?」


「大丈夫です。4名でお願いします」


「かしこまりました。では、少々お待ちください」


 受付の人間の女性は素敵な笑顔で対応してくれた。ちなみに、1エニー=1円だ。この世界の通貨は、大金貨・金貨・銀貨・銅貨・小銅貨らしい。大金貨から10万円・1万円・千円・百円・10円と考えると簡単だ。エルが気を利かせて王都までの道のりの最中にギルバートさんに聞いていたので安心だ。それにしても、時代が経っても貨幣価値が変わっていなくて助かった。所持金もゲーム時代のままなのでかなりの金額があるので当分は生活に苦労をすることが無いのは大きい。身分を証明するためなのだから1万円はそこまで高くないとも思える。


「お待たせしました。こちらの水晶に手をかざして下さい。お名前とステータスが表示されますので、その情報を元にギルドカードを発行させていただきます」


「わかりました」


 案外簡単に登録できるのだなと思いながら、私、ヒビキ、エーシャ、エルという順番に手をかざしていく。もう、私とヒビキは【古の血脈】だとギルバートさん達に教えているから【リミッター】で抑えているステータスでも大丈夫だと思っていると、受付の女性は私やヒビキのステータスを見て目を見開いていた。やっぱり、何も知らないとそんな表情をするよね。エーシャのステータスは普通だったのかホッとしたような表情をしていたが、エルが手をかざしたときに私は重大なことに気づいた。エルのステータスそのままだ!


 気づいた時には既に遅く、エルのステータスを見た受付の女性はどんどん顔が青ざめていく。


「ひょっ・・・少々・・・ここでお待ちください」


 よっぽど驚いているのか若干噛みながらも女性はそう言って慌てて裏へ走っていった。終わった・・・まさかの初歩的なミスを起こすなんて。エルもしまったみたいな顔をしていた。



「申し訳ありません。うっかり自分のステータスのことを忘れていました」


 エルは本当に申し訳ないような顔をして謝ってきた。


「仕方ないよ。私の方も自分達のことでいっぱいいっぱいだったから」


「そうだよ。エルにはいろいろと気を使わせてたし、そんな顔をしないでよ」


 そんな私達のやり取りを見て唯一エルのステータスを知らないエーシャは頭の上に?を浮かべているような感じで首を傾げている。


「おん?なんだ?久しぶりにギルドに来て見たらずいぶんと良い女達がいるじゃねえか」


 これからどうしようかと途方にくれていると後ろからそんな野太い声が聞こえてきた。振り返って見るとそこには身長が2m近くある顔中が傷だらけの筋肉ムキムキの男と、ニヤニヤといやらしい笑みを浮かべた三人の男達が立っていた。



「アニキ、オレは白髪の女が良いです」


「オレは、狐の獣人の女が良いですね」


「じゃあ、オイラは犬の獣人の小さい子で」


「お前らわかっているじゃねえか。じゃあオレ様は黒髪の女だな」


 男達は私達を見るなりそんな話を始めた。ゾワッと一気に体全体に鳥肌が立つ。この人達、絶対に冒険者よりも犯罪者だよ!なんで明らかに悪事をしていますって感じの人達が冒険者やってるのよ!


「なんだ?ビビって何も言えないのか?そんなんでギルドなんかに来るなよ」


 と良いながらアニキと呼ばれていた大男が私に近寄って来る。うわ~めんどくさい。これ以上目立ちたくないのに。


「汚い手でシズク様に触れるのではない」


「痛っ!」


「このアマぁ!」


 私に触れようとした大男の手をエルが掴んだ。ああ、エルこれ以上問題を起こさないで。そのせいで一触即発の雰囲気になり始めて、ギルド内がザワザワし始める。


「どうやら痛い目にあいたいよだな~」


「ふん。丁度良い。自分のミスではあるが、少し憂さを晴らすためにその八つ当たりをさせてもらおうか?」


 ああ・・・エルさっきのことでイライラしてたんだ。しかもヒビキまでエルに触発されて戦闘態勢に入ってるし。エーシャは戸惑っているし彼女にエルとヒビキを止められるわけも無いし・・・仕方が無いここは私が止めるか。


「やめんかぁ!!!」


 二人を止めるために私が動こうとしたら女性の大きな声がギルド内に響いた。声がした方を見ると、2階の通路に青い髪とつり目が特徴的な女性がこちらを睨んでいた。


『おい、ギルマスだぜ』


『久しぶりに見たな』


『ああ、あいつら終わったな』


 そんな声がギルド内から聞こえてくる。あの女性がギルマスなんだ・・・ちょっと怖そうな人だな。そんなことを考えていると、ギルマスの女性は階段を下りてこちらに近づいてきた。


「ゲイナー、また貴様のパーティーか・・・何度問題を起こせば懲りるんだ?」


「いや・・・オレ達はそいつらにここは女子供が来るには場違いな所だって教えてやろうとしただけですよ。なあ?お前ら」


「「「そうで~す」」」


 大男、ゲイナーと呼ばれた男は悪びれたそぶりを見せずにそんなことを言い始めた。うわ~絶対に懲りてないよ。


「その女子供にギルマスである私も含まれるのかな?是非、教えて貰いたいな?」


「チッ!お前等、行くぞ!」


 このまま続けたら不利と思ったのかゲイナーとその仲間達はギルドの外に出て行った。


「すまないね。あれでもランクCの実力者達なもんでね」


「いえいえ。別に被害を被ったわけじゃないので気にしないでください」


「そう言ってもらえると助かるよ。さらに、申し訳ないのだが少し私の執務室で話を聞きたいので着いてきて貰えないだろうか?」


 これ絶対にエルのステータスについてだよね。もうこれ以上騒ぎを大きくしたくないし、ここはこの女性の言うことを聞いておこう。


「良いですよ。みんなも良いよね?」


 3人を見ると3人とも頷いたのでギルマスに視線を送る。


「では着いて来てくれたまえ。ああ、リオナ。私の部屋にお茶を人数分頼む」


 ギルマスは、先ほど私達を担当していた女性にそう言って歩き始める。あの人リオナっていうんだ。リオナさんがギルマスを呼びに行ったんだろうな。私達、4人はギルマスに着いて行き2階の部屋に入ると先ほど言っていたように、いかにも執務室といった印象を受ける部屋だった。多くの書類が置いてある机に、来客用のソファーとテーブルがあるシンプルながらもギルマスという重要な役職のためか決して安いものは置かれてないという印象がある。

 私達を座らせて、早速話が始まるかと思ったら、ギルマスはいきなり私達の目の前で土下座をした。


「申し訳ありません!!我がギルドの冒険者が失礼な態度をとってしまい誠に、申し訳ありませんでした!!古の龍の王であるエターナル様にあのような無礼・・・どのようにお詫びしたらよいか・・・」



 ・・・第一印象で怖そうな印象があった女性がいきなり土下座をして今にも泣きそうな顔で謝れたらどんな対応をしたら良いのかさっぱりわからない。しかも、この人エルの正体を知っているし。私は、エルの知り合いなのかと思いエルを見るとエルも困っているような顔をしていた。


「すまないが・・・どこかで会っているにかな?」


「ああやはり。私のような若輩者が御身のような偉大なお方の記憶には残ってはいませんね。以前、まだ私が幼子だったときに住んでいた里にエターナル様がいらっしゃったときに少し言葉を交わさせていただいたのです」


 エルの質問にギルマスは土下座をしたままの体勢でそう応えた。


「里とな?」


「はい。私の生まれは【龍人族の隠れ里】でございます。申し送れましたが、今でこそ、この王都でギルドマスターをやっておりますが、里長の次女でディアナと申します」


「おお!デルガのところ次女か!大きくなったな」


 ギルマス、ディアナさんの名前を聞いてようやく誰か気づいたのかエルが納得した顔をしている。


「知り合い?」


 ヒビキが疑問を口にする。


「ええ。龍人族はいくつかの隠れ里で暮らしているのはご存知ですよね?以前、いくつかの隠れ里を回っていた時期がありまして、そのとき一番長居をしたのがディアナの父が里長をしていた里だったのです」


 ゲーム時代には、多くの種族の設定で住んでいる場所の説明を読んだことがあるけど、隠れ里に住んでいるのは基本的にレア種族が多かった。龍人族もその一つだ。なるほど、龍人族なら古龍王のエルを知っていてもおかしくは無い。



「あの・・・エターナル様。この方達は?」


 龍人族にとって絶対的な存在であるエルと普通に喋っているヒビキに疑問を覚えたのかディアナさんはそんな質問をしてきた。それを聞きエルはどうしますか?といった顔で私を見てきた。


「とりあえず、ソファーに座りましょうか。お話はそれからで」


「だそうだ、ディアナ」


「はあ・・・かしこまりました」


 私の返答を聞いたエルがディアナさんを立たせた。ディアナさんは少し呆けた感じでソファーに座る。


『ギルドマスター、お茶をお持ちしました』


「入れ」


 タイミングよく扉をノックする音が聞こえて先ほどの受付嬢リオナさんの声が聞こえた。ディアナさんの許可が聞こえてからリオナさんが人数分のお茶を持って入室してきた。


「リオナもいちよう当事者なので、できればこの後のお話を聞かせたいのですが、よろしいですか?」


「いかがなさいますか?」


 エルがディアナさんの言葉の返答を私に聞いてくる。正直、かなりこの時点で目立っているし、今後もこの王都で生活するなら、私達の存在や現状を説明して理解してくれている人は何人か欲しい。ディアナさんなら大丈夫だど思えるし、リオナさんもギルドマスターであるディアナさんが念を押してくれれば大丈夫かな。エーシャには今後も一緒に行動をしようと言ってあるからこれを良い機会だと思って教えようと思い、ヒビキに確認しようと思い見ると、ヒビキも私の考えと一緒なのか頷いてくれた。それを見て私はエルに頷き返す。


「良いでしょう。この話は此処にいる者だけで、決して他の者には口にしないことを誓って欲しい」


「畏まりました。良いわね、リオナ?」


「はっ・・・はい!」


 エルが少し威圧するような声を出したためか、ディアナさんもリオナさんも緊張をした面持ちで返事をする。ちなみに、エーシャはすでにこれ以上がないくらいに緊張をしている。


「では、私が説明をしましょう」


 エルがそう言って説明を始めた。私たちが【古の血脈】ではなく、【古の血族】と呼ばれるプレイヤーであること。そして、その伝説の存在の中でもトップであったギルド、5人の超越者(ファイブ・ロード)と呼ばれる存在であること。そして、王都には2人の妹と合流するために来たこと等を説明した。

 話を聞いたディアナさんとリオナさんは見る見る顔が青くなっていき、エーシャはキラキラした目で私達を見ていた。


「まさか、あのファイブ・ロードの方々とは知らずにご無礼な態度を・・・大変申し訳ございません」


 そう言って、ディアナさんとリオナさんは頭を下げてきた。さっきのように土下座をしようとしたのだけど、必死に私が止めた。


「いやいや、私達は普通の人ですから。そんなに偉くもないので、そこまで頭を下げなくても・・・」


「いえ!ファイブ・ロードといえば5人全員が神であり、たった1人で1000体の魔物を軽く屠ったという伝説を持つ、死と破滅の女神・不敗の龍神・全ての獣を統べる獣神・唯一無二にして吸血姫の神祖・無限魔眼の魔神、と呼ばれ【古の血族】すら恐れていたと言われている方々に普通に接するなど・・・」


 FWO内にて有名なプレイヤーは二つ名で呼ばれる。その二つ名は基本的に持っている称号で決まるのだけど・・・聞いてて恥ずかし過ぎる。


「私達は、普通に生活したいから。今は無理でも徐々に変えてってくれないかな?」


 ヒビキが畏まった喋り方をされて嫌になったのかそう口にする。


「では・・・なんとお呼びすればいいでしょうか?ヒビキ様」


「様はいらないって。呼び捨てでも良いし、ちゃんでもさんでも良いよ」


「まだ割り切れないようでしたら、私達といるときはこのままで、他の人達がいるときは普通に接して徐々に慣らして下さい」


 ディアナさんが困っているような表情をしていたので私が妥協案を提案する。


「わかりました。ではそのようにいたしましょう」


「皆様は、あとのお二人が合流するまで、これからどうするのですか?」


 ディアナさんが私の妥協案に納得してくれると、リオナさんが今後の予定を聞いてくる。


「そうですね・・・出来れば宿を紹介してくれませんか?お風呂が入れる宿を」


「あと、おいしいご飯が食べれる所が良いな」


「そうですね~」


 私とヒビキの希望を聞いてリオナさんは首を傾げながら考え始めた。


「でしたら、【楽園亭】は如何ですか?あそこなら、お風呂もおいしいご飯もありますし、王都外から来た商人の方などが宿泊するため、防犯なども充実してますよ?」


「そですね。【楽園亭】ならきっと満足できるでしょう。念のため私が紹介状を書きますので、そこの主人に見せてください」


 リオナさんが挙げた店名にディアナさんも納得したのか進めてくれた。その後、ディアナさんが紹介状を書き終わるまでいくつか質問をしたりされたりしてギルドを出るころには日が沈みかけていた。




 

結局はテンプレでしたね…最近、リアルが多忙で体調まで崩してしまいました…次話は未定です。すいません…

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