16/17
XV
すべてが終わった。これからは幸せが訪れる。誰もがそう思っていた。
そんなときに、悲劇は訪れた。
「パパ、パパ! ねえ、やだよ、死んじゃやだ!」
ニータの泣き叫ぶ声が聞こえる。ゲダインは皇居から出た所を軍部の人間に刺されたのだった。安堵故に、警戒心を解いていた。ゲダインは咄嗟にニータをかばったのだ。そして、襲ってきた人物を殴って昏倒させた。しかし、そこまでだった。
「ロベルト君、ヴォルグ。ニータを頼む」
ゲダインはかすれる声でそう言った。もう命は残り少ない。
「パパ、パパ」
ニータの涙は止まらない。そんなニータにゲダインは、
「強く生きろよニータ。愛してる。わが子よ」
そう優しく微笑みながら息絶えた。ロベルトとヴォルグも涙を流していた。