1巻11P_つめひらきの事
つめひらきとは、膝で回ることである。
貴人の前に御膳を据えるなどして、そこから退出しようとするとき、立つ前に左右どちらかにキリリと身体を開くように回して立つことをいう。揖ともいう。
『今川大草紙』に曰く、「弓征矢進(※弓・征矢をたてまつる=戦の支度で武装をお着せするの意?)のときは、手をついて揖をして左に回って退出する。また、むかばきたてまつる(※旅や狩りの支度で服などをお着せするの意?)ときは、これも退出するときは左に回る。」云々と書いてある。
【頭書】『誓真聞書条々』に曰く、「膝の使い方ひとつを知っていれば、百回・二百回と座敷に出てもその立ち居振る舞いは見事に見える。左に回るときは右膝に手を添えて右膝を引き、それから左膝を引いて左に回る。右に回るときは左膝を引き、同じく左の手を添えて退きつつ右に回る。よく口伝を守って用いる所作である。」と書いてある。
膝行の続きとも言える内容です。
こんなのどっちでもいいじゃん!と思うでしょうが、わたしもそう思います。平民同士のビジネスシーンでは関係ないでしょう。
上流階級はこういう仕草ひとつで家柄や教養までを特定してくる可能性もあるので怖いところですね。