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1巻29P_元服の事

元服とは、元は「はじめ」、服は「きもの」と読む。すなわち童子が成長して初めて大人の衣服を着ることを元服というのだ。

元服は、加冠かかんの役または理髪の役ということもある。

加冠とは、烏帽子を取って被せる人のことで、烏帽子親のことである。

理髪とは、童子の髪の先端を紙に包んで、その包んだ髪の先を切る人のことである。

理髪の人は髪を切り、加冠の人は烏帽子を被せるものである。

この時初めて童子は長小結烏帽子ながこゆいのえぼしを被るのである。また、加冠の人から大人としての名前である名乗り字を一文字貰うこともある。足利将軍家の名乗り字をいただくこともある。

元服した時、高位の家の人は官位を賜り、そうでない家の人は何丸・何若などという幼名をやめて、何太郎・何次郎などと大人の名前を付ける。これを烏帽子名という。

その後、背も高く身体も逞しくなった頃に、長小結烏帽子をやめて通常の烏帽子を被る。

元服以前の童子の体裁は人物の部で示しておくので参照してほしい。

古の元服の次第はこのようなものである。

今の世に、童子は前髪を大いに分け、額の隅の毛を抜くことを半元服といい、前髪を落として月代さかやきを剃ることを本元服などというのは近代の習俗である。古のものではない。

【頭書】『三代実録』に「仁和2年正月2日壬午、太政大臣の長男、時平が仁寿殿において16歳で元服した。帝は冠を取って手自らその頭に被せ、主殿助従五位下藤原朝臣末直に理髪させた」云々と書いてある。


現代では、大人になるということは様々な法令による権利や義務を負うということでもあります。

その時、地域や人間関係によっては成人式以外の通過儀礼が存在する場合もあります。

「古」でも通過儀礼として元服の儀式があるのでしょう。

そこには概念的な変化に対して形式的な変更を求めるという人間らしい習性があります。

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