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アンユの日記~Pollen・Allergy・Lover~  作者: 昼場まなと
第七話「四度目の対話」
36/42

償い

エピソード35

「おかえり、アンユ。」

「カルラ。ただいま。」


 4回目の対話が始まった。

もはや、二人とも慣れたもので、会話は自然と弾んだ。


「前の対話で、今度は私達の話するって言ったでしょ?」

「うん。面白い話を聞かせてくれるって言ってた?」

「そうそう、それをみんなに聞いて回ったんだよ。今日は、カルラに私達の繋がりを知ってもらおうと思って。」


 私はそう言うと、光の空間にお絵描きを始めた。

私が、そこに「在る」と思い描くと、空間に人形が現れて動き出す。


「この子達はマスターと二人の娘さん達。」

「ははっ。この人は、木に会いに来てくれたことがある。よく似ているよ。」

「じゃあこれは?」

「料理をする人だ。花を採るときによく話しかけてくれていた。こっちの二人は見たことが無いな。」

「それは、私の両親。私は、この二人から生まれてきたんだ。」


 私は、この人形たちと一緒になって、3組の恋人たちの物語を表現した。。

マスターは、離ればなれになってしまっても、今でも恋するような瞳をしていると。

コック長さんと司書さんは自らの意志で違う道を進むことを選んだ。その後、彼は自然と共に歩もうと思える相手を見つけたと。

そして、私の両親は、出会ったころから変わらぬ関係を築き、今もなお、その愛を育んでいると。


「私達は、こうやって出会い、これまで歴史を繋いできたんだよ。」

「そうして、君が生まれたんだ……。」

「うん。父さんと母さんが出会わなければ、……ううん。これまでの全ての人たちが出会ったから、私は生まれたの。」


 そうして、私は、カルラの頭に手を乗せた。

カルラは目を閉じて、私達、人類の歴史を思い描いているようだった。


「あのね、カルラ。」


 声を聞くと、カルラはゆっくりと瞳を開いた。


「私はあなたを吸収して、あなたの持つ力を取り込むことになってるの。」


 カルラは、驚くことも無く、微笑んだ。


「それが、僕が君たちに出来る『償い』なんだね。」


 しかし、私は首を振った。


「ううん。私は、それをしたくないって思う。」


 きっと、今見てるマスター達は困惑しているだろう。


だけど、ごめんなさい。もう、決めたんだ。


「私は、あなたを取り込むことなく、そのままのカルラとして力を貸してもらいたい。」


 カルラは、黙って私の目を見つめていた。

カルラもきっと分かっているんだと思う。次の対話が、最後になることを。


「その時私は、私の中にあなたの居場所を作ってあげたいの。」

「居場所……。」

「私の体を通して、世界を知って、私と一緒に世界を救ってもらいたい。」


 カルラは、どう感じているんだろうか。今の私はまだ、分からないけれど。


「私とカルラが出会って、そうして次の世界へ繋いでいくの。それが私達、人類がしてきたやり方だから。」


 カルラが再び、目を閉じた。

私はそれが、彼と過去や未来すべての桜達との会話であることを悟った。


「すぐに答えは出さなくていいよ。みんなと話し終わったら、また教えて。」


 私は、ゆっくりとカルラから離れていった。

きっと、彼らの答えはもう決まっているのだろうという予感があった。

だけど、それをどう受け止めてくれるのか、その時間をきちんと作ってあげたかった。


 そうして私がこの対話から離れようとした時、背中の方からカルラの声がした。


「またね……。」

 次も投稿済となっております。

そのエピソードから最終章です。

よろしくお願いいたします。

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