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アンユの日記~Pollen・Allergy・Lover~  作者: 昼場まなと
第六話「三度目の対話」
26/42

花の筏

エピソード25

 例によって、私は夢を見た。

しかし、これまでの夢と違って、決定的に違うのは、景色があったことだった。


 私は川の中を進んでいた。正確には川の「上」というべきか。

私の足元にはサクラの花びらが集まっていて、それが筏のように、私を乗せて川を下って行った。


 川幅は広く、流れもゆったりとしたもので、穏やかな風景が少しづつ、少しづつ通り過ぎていくのを、私は眺めていた。


もう少し、川中の方へ進んでみよう。


 そう思いながら、私はその方へ息を吐く。

ふーっ。と、優しく吹きかけると、思惑通り、花の筏は進路を変えた。

私はそれが楽しくなって、右へ、左へと息を吹く。

それに合わせて筏も揺れる。


 そうしているうちに、川幅はさらに広くなっていく。


もうすぐ、河口に出るんだろうか?


 先の光景を思い描いて、私は期待に胸を膨らませた。




 翌朝、私は朝食を取りながら、マスターを探し当てた。


「おはようございます。」

「アンユさんおはようございます。」

「今日、またカルラと話そうと思うんですけど、大丈夫ですか?」


 と、この日のスケジュールを建ててもらった。

午後には、対話の準備もできるとのことで、手筈を整えてもらうことになった。


「ところで、ちょっとお願いがあるんですけど。」


 私は、カルラと話をするにあたって、知っておきたいことがあった。


「マスターと奥さんの馴れ初めって聞いてもいいですか?」

「えぇ!?私のですか?」


 私は、カルラのことをもっと知りたい。

そして、カルラには、私たちのことを知ってもらいたかった。


「地上の人たちって、基本的にカルラは繋がれないじゃないですか?だから、いろいろ話してあげたいなって。」

「な、なるほど……しかし、馴れ初めというのは。」

「あ、それは私が知りたいだけです。本当は私の両親の話なんかも聞きたいんですけど、外に出るのって難しいですもんね?」

「あぁ……それでしたら……。」


 マスターも自分のこととなると恥ずかしいのか、少しでも逃れようと考えているようだった。


「手続きを行って、外に漏らしてはいけない内容を考慮していただければ、明日には可能かと思います……。」


 お、言ってみるもんだなぁ。という思いがバレてしまうとまずそうなので、密かに思った。


「ソレはソレとして、マスターの話も聞いてみたいなぁ、なんて。」


 押しを強めてみると。


「くっ……それでしたら、アンユさんがご実家から帰ってきた後に……少しだけ。」


 と、マスターも折れてくれた。


「お二人さん、何話してるんです?」


 コック長さんが、いつになく照れ照れのマスターをからかう様に割って入った。が。


「そ、そうですよ!君にも恋人がいましたよね!?」


 と、マスターはコック長を売り渡した。


「え?!ホントに何の話をしてたんですか?」


 好奇心、猫を殺すとはこのことである。


昔の人はうまいこと言ったもんだ。


「アンユさん!ぜひ彼の話もカルラ君に伝えてあげましょう!いや、これも人類を彼らに理解してもらうための大切な任務ですよ!」

「その言い方ズルくないですか!?えー、まいったなぁ。」


 こうして、後日カルラに話すであろう、三人分の土産話の手配を済ませて、笑いながら食事を終えた。

最終話のep.42まで投稿済です。

よろしくお願いいたします。

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