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アンユの日記~Pollen・Allergy・Lover~  作者: 昼場まなと
第五話「二度目の対話」
23/42

私のやり方

エピソード22

 二度目の対話を終えて、観測室に戻ると。


「今回の内容について、会議を行う用意をしました。アンユさんも参加してください。」


 と、マスターに案内され、会議室へ向かった。


「それって、ウサギも参加します?」

「その予定ですが、どうかなさいました?」

「いえ、あいつにも聞きたい事が、たっくさん有るんでちょうど良かったです。」


 会議室には、マスターの二人の娘さんと、その他にも、各部署の管理者達が集まっていた。

そして、当然、ウサギの姿も。

マスターは一番奥、中央の席へ着く。

私は、その隣の空いた座席へ、ウサギとでマスターを挟むように座った。


「それでは、始めましょう。」


 マスターの言葉が終わるや否や、観測係さんが声を上げた。


「あのさ、聞いてない事が多すぎるんだけど。」

「おちつきなさい。」

「落ち着いてられないって。パパはあの話聞いて何も疑問に思わなかったの?そのウサギのこと信用できないよ。」


 マスターは、息を撒く観測係を見て、ただ、頭を横に振った。


「そのことについては、私も聞きたい。」


 彼女を落ち着かせたくて、私も同意した。


「アンタはさ、このこと知ってたわけ?」

「この事ってのは、どの話のことスか?」


 ウサギは、この状況にあっても、ふざけた態度を崩さずにいた。

この様子に、私は早くも調子を崩される。


「え?えーと……、まずは……。あ、そうだよ、地球が終わるって話。」

「それなら知ってたスよ。」

「なんで黙ってたの!?」


 何とか、主導権を握ろうと、私は精一杯、語気を強めた。しかし――。


「話す意味がなかったからスね。」


 ウサギには、効果を為さなかった。


「ヒトの、主な死因って知ってるスか?」


 唐突な質問に、私は戸惑った。


「大きなものは、『戦争』と『飢饉』ス。ところが、かつての人類はさまざまな手段でこの二つを克服しちゃったわけです。」


 その結果として、星が抱えられる閾値を超えた、とカルラは言っていた。

そのことを補足するように、マスターが話を引き継いだ。


「だから、彼らは『病』というものを産み出すことでその問題を解決することになったのでしょう。」

「それだって、ウサギの力で何とか出来たんじゃないのかって話でしょ!!」


 観測係は、再び怒りを露わにする。


「それを、阻止したところで、今度は星の力の枯渇ス。」


 しかし、それもウサギにいなされた。


「だから、その根本を解決するには、こうするしかなかったんスよ。」

「どういうこと?」


 私は率直に聞いた。


「それはまだ教えられないス。」

「またそれ?なんで?」

「約束したからス。」

「誰と?」


 その後、返ってきた言葉の意味を、私には理解できなかった。


「アンユッチ、ス。」


 当然、そんな心当たりはなかった。


「適当な事言わないでよ!!」

「適当じゃないス。オイラはその約束を果たす為だけにやってきたスから。」


 私は絶句した。

しかしそれは、ウサギに呆れたからではなく。


たぶん、本当だ……。


 という、自分の感覚に驚いたからだった。




 しばしの沈黙の後、これまで会議の行く末を見守っていた司書さんが口を開いた。


「あの、今わたし達が話すべきは、これからどうするかではないでしょうか?」

「あんたは何でそんな冷静にいられんのよ。」

「お姉ちゃんの気持ちも分かるよ?でも、私たちに出来るのは、これから人類が生き延びていくにはどうすればいいか考えることじゃないかな?」

「……そうだけど。」

「本当はおねえちゃんだって、気づいてるんでしょ?きっと、アンユさんにはそれができる。」

「……。」

「それに、その為にウサギさんだって力を貸してくれてるんだから。どうせなら、利用してやるくらいに考えてみようよ。」


 彼女の言葉を聞いて、私も、気持ちを切り替えて、ウサギに聞いた。


「そうだね。それで?アンタの計画ではこの後どうなってるの?」

「このまま、アンユッチの能力が完成するのを待つだけス。」

「それだけ?」

「能力をどう使うかは、その時になれば分かるスよ。」


 そうして、ウサギはいつものようなムカつく笑顔を作る。


「言ったでしょ?アンユッチはアンユッチらしくしていれば上手くいきますから。ネっ?」


 コイツはいつもこうだった。

だけど、この時はコイツの調子に合わせてやることにした。

いいでしょう、私らしく進んでやりますよ。そう、心に秘めて、私は思いを込めた。


ところで、皆さんお腹空いてませんか?


 全員の端末に表示してやった。

会議の参加者から、クスクスと笑い声が漏れる。

マスターも確認したようで、その表情はほころんでいた。


「そうですね。ひとまず昼食にしましょう。」


 これが、私のやり方だった。

 続きとなるエピソード23も投稿いたしました。

よろしくお願いいたします。

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